Episode63 ページ14
「おい、神島。」
Aを森に預け、予定通り倉庫群に到着した中也。
太宰は先に現場に向かっており、部下達の配置も済んでいた。
未だ姿を見せない神島に、渡していた無線で中也が呼びかける。
「心配せずとも聞こえている。」
「今、何処に居るのだい？」
無線からは神島の声以外何も聞こえず、場所を特定することができない。
「倉庫の前に居るさ。能力を使っているだけだ。」
指定された時刻は午前四時。
後十分程余裕があり、最終確認を行う。
相手が相手なので、下手に倉庫内に調べを入れる訳にもいかず、作戦といっても正面突破のようなものだ。
「組織の奴がその場に現れたら、無線機を叩いて合図しろ。何があってもその情報は渡すんじゃねぇぞ。」
一度襲撃されたくらいで相手が引く訳がない。
Aの情報が渡ってしまえば、今後の対策に響く。
しかし、神島からの応答がない。
「聞こえてんのか？」
その時、太宰の携帯が鳴った。
「こんな時に通知切ってねぇのか、テメェは！」
太宰は中也の抗議には耳を貸さず、真剣な表情で電話をとる。
「はい、太宰です。」
漏れ聞こえてくるのは森の声。
感情のない太宰の顔。
中也も嫌な雰囲気を察する。
「わかりました。こちらですぐに対応します。」
そう言って電話を切る太宰に中也が詰め寄る。
「何があった？」
「Aちゃんが消えた。」
予想だにしなかった最悪の答えに焦る中也。
「如何言うことだ！」
「嵌められたのだよ。神島にね。」
太宰が携帯を操作しながら淡々と言う。
中也は無線で部下に指示を出し、倉庫内に突撃する。
「…クソッ！」
勢いよく飛び込んだ倉庫の中は空だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです！！ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (
レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：noel | 作成日時：2020年3月30日 9時
