Episode60 ページ11
神島を解放した次の日には、早くも敵からの反応があった。
Aによる襲撃の様子も報告しろという敵の命令で、神島に指定されたのは三日後、港近くの倉庫。
Aは三日間、一時も中也から離れるなという命令を受けた。
もともとずっと一緒にいるんだから、何も変わんないか。
「どうして三日後なんでしょうか?」
「敵も此方には大した拠点なんて置いてねぇんだろ。部隊の一つでも送り込んで来るんじゃねぇか?」
そうだとすればこちらも気を抜けない。
中也は勿論、太宰も出動する気だが、Aの警護も必要だ。
「じゃあもう遅いし、私そろそろ帰りますね。」
今日一日、敵の襲撃を受けることはなかった。
窓の外はもう真っ暗で時計の針は真上を向いて重なっている。
立ち上がって帰ろうとするAの腕を、中也が捕まえて引き寄せる。
突然のことにソファに片手をつき、中也を跨ぐような体勢になってしまう。
「帰す訳ねぇだろ。寝てる間が一番襲われやすいってわかってんのか。」
真剣にAを見上げる中也の瞳にとらわれる。
言っていることは尤もなのだが、この状況だと襲われるのは中也に、だ。
二人ともそのことに気付いたのか、慌てて距離を取り、意味もなく室内を歩き回る。
「と、とにかく三日間は俺の部屋で寝ろ。」
「…わかりました。」
ここ数日、例の視線のせいで寝付きが悪かったAは素直に受け入れた。
着替えを取りに部屋に戻るだけでも、中也は後ろをついてくる。
「過保護過ぎやしませんか?」
これが三日も続くとなると中也の方も疲れるに違いない。
「当たり前だろ。部下を守るのは上司の仕事だ。それに、お前は特別だからな。」
中也の言葉にAの動きが止まる。
特別。
中也はあまり意味もなく、無意識に使った言葉なのだろう。
私は直属だから。
それだけの意味なのはわかってる。
それでも自然と笑みが溢れる。
何故かわからないが、嬉しい気持ちを隠すことができなかった。
「何ニヤニヤしてんだよ。」
「別にぃ。早く戻りましょ。中也さんが特別な私を散々甘やかしてくれるらしいので。」
そんなこと言ってねぇぞ、と言いながらもAの後を追う中也はどこか楽しげだった。
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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時