秘密事 (ページ6)

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延長戦開始の合図ページ6

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(kazato.k)

『京極、引っ越したんだっけ』

衣装やらなんやらを鞄に詰めている私の横でなぜか仁王立ちの男
いくら同期とはいえ、ただただ無言で見られるのも中々に心地が悪くて、無理矢理に絞り出した話題がこれだった

「ん、もう結構経つけどなぁ」
『いいじゃん、六本木、家賃12万。』
「家、見に来る？ルームツアーしたるわ」
『でもYouTube観たよ、私』
「最近模様替え一段落したとこやし、A俺ん家来たこと無いやろ？」
『あー、じゃあ、行こうかな』

若干強引に”京極さん家のルームツアー”への参加が決定してしまった
何で私だったんだろ、なんて考えも浮かんだけど、
本人に聞くのも野暮な気がして何も言わずに楽屋を後にした

いつも乗っている電車で、いつもなら行かない場所へ向かう
その非日常感が心を少し浮つかせていて、でもそれは私だけじゃなかったみたいで、「迷子になったらあかんからな」とかなんとか言って、勝手に右手を繋がれた
別にこれくらいの人混みなら大丈夫だって、分かるはずだけど、手を離すのも違う気がして大人しく従った

『お邪魔しまーす』
「はーい、どうぞ」

模様替えした、と言っていた通りYouTubeで観た時とは違う家具の位置や小物達
あんなに物があったら疲れそう、とか思ってたなんて言えないくらいに居心地が良くて、拍子抜けしてしまった

一通り紹介し終わって、満足したのか革張りのソファに腰掛けた京極が、隣をポンポンと叩くので座ると、背もたれに腕を乗せてきて、距離がくっと縮まる

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