秘密事 (ページ1)

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脱がないパジャマはきみのためページ1

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(kuruma.t)

『なんか、悪いことしたい気分』
「ふ、なにそれ」
『だってさ、これだと、あまりにも不幸せ過ぎる』

そう、私いま不幸せなの
毎日満員電車に揺られて、まともにご飯を食べる時間も無いまま遅くまで働いて、倒れるように眠って、うるさいアラームで起きて、また同じ朝昼晩の繰り返し

大人だし当たり前なんだけど、みんなそうなんだけど、
って頭では理解してるものの
もう嫌だな、こんな生活
そう思ってから何年も経つのに、ずーっとずーっと変わらないまま、抜け出せない

「帰ってきたら令和ロマンの髙比良くるまがいるのに？」
『今日は私の方が早かった』
「それはごめんだけど」
『ここ二週間くらいずっとそうだけど』

ごめーん！と勢いよく抱き締められて二人共ベッドに倒れ込む
そんなことしても許してやらないぞ
スプリングが少し軋んで、ぼふっ、と掛け布団から間抜けに空気の抜ける音がした

「ほんとごめん、許して」
『えー、…やだ』
「Aの言う事、なんでも聞くからさ」

こういう時だけ、流れるように言葉が出てくるな
謝り慣れてるっていうか、なんというか
だから、私が少しだけ彼を困らせたくなるのもしょうがない、と思う

『悪いこと、何したらいいと思う？』
「それ、俺が決めちゃっていいの？」
『いいの。はい、お願いします』
「えー、かなり勝手過ぎるかもな」

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