この世界で君は (ページ35)

今日:22 hit、昨日:0 hit、合計:159,526 hit

３３ページ35

西畑side

　吐き気は大分落ち着いて、眠くなってきた。

　廉も紫耀に抱っこされて落ち着いたからか、その格好のままうとうとし始める。

平野「2人共、一日お疲れ様。正門も当分来ないだろうから寝ちゃいなよ、」

　廉は「うん・・・」と小声で言って寝てしまった。

廉の寝息が聞こえると、「紫耀は緊張した」と呟いて笑った。

「ありがとうございます、廉はもう紫耀に取られたかな？」

　ふざけて言うと、紫耀は廉の頭を撫でていた手を止めた。

平野「待って､､まだ好きって言えてない」

　その後悔はあの駐車場でして欲しかった。

　でも、紫耀から好きという言葉を聞けただけでも収穫だ。

「廉の目が覚めたら、どないする・・・?」

　ぼんやりとした頭で尋ねると、困った顔をされた。

平野「なんか怒られそう・・・ねぇ、大吾は俺から好きだって言われたらどう思う」

「ごめん、西畑、正門以外眼中にないねん」

　西畑の答えを聞いた紫耀は「知ってた」と言って笑う。

　しかし、笑顔だった紫耀の顔が強張った。

平野「怖い、拒絶されるのが。廉にだけは拒絶されたくない」

　紫耀が正門に男性妊娠を伝える時の自分と重なる。

　何か声をかけようと思い口を開いたが、体がつるような痛みがして、バレないように布団にもぐった。

　紫耀には申し訳ないが、痛みが引いたらもう寝よう。

　起きたら、正門がいたら良いな。

　

　