この世界で君は (ページ33)

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その後、何とかして先ほどの雰囲気を取り戻そうとしたが、強い眠気と吐き気が襲ってきてそれどころじゃない空気で廉の家に着いた。

平野「正門、今大阪出たって」

　朦朧とした意識の中で正門が来るのが聞こえてほっとした。

廉「大吾、最後にご飯食べたのいつや？」

　それを聞かれて記憶を遡る。

「多分、昨日のロケ弁・・・結局もどしたけど・・・うっ！」

　紫耀が何か食べれるものがないかといろいろ持ってきてくれたが、匂いが辛い。

　急いでトイレに逃げ込んだ。

　廉が背中をさすってくれているが、震えている手が廉が泣いていることを教えてくれる。

　それが、すごく申し訳ない。

　廉を巻き込んでしまった西畑が情けない。

　「ごめん」って言いたいけれど、気持ちの悪さで声が出ない。

　何時間もその状況が続き、体も少し落ち着いて廉が東京に来た時に西畑がいつも使う布団を出してくれた。

「ごめん・・・」

　やっと言えたその1言に廉は大粒の涙を流した。

廉「ごめんや、ないで・・・大吾のために何かができるんなら万々歳や」

　廉は気丈に振舞おうとしているが、涙が止まらない。

　すごくすごく不安だったんだと分かり、涙を拭ってやりたいが栄養がないせいで身体が辛い。

　どうしようかと悩んでいると、廉の背後からにゅっと手が伸びてくる。

　そのまま廉は紫耀の腕に埋もれてしまった。

　

　