この世界で君は (ページ32)

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西畑side

　腕を掴み続けていることを指摘すると、紫耀はキョトンとした顔をした。

　数秒考え込んだ後で、紫耀は顔を真っ赤にした。

平野「えっ!あ、ごめん。無意識に・・・」

　口では謝っているが、廉の腕を一向に離さない。

　そんな紫耀の姿に日常を感じる。

　先ほどまで滝沢さんと真剣に話したり、正門と電話をしていたのは夢だった気がした。

　にこにこしながら廉を見ると、真面目な顔で紫耀を見つめていた。

　廉の覚悟が伝わってくる。

　廉がやっと前に進むのだ、親のような気持ちになった。

　ゆっくり息をのんだ。

「ねぇ、しょ、、」

平野「と、取り敢えず。2人をれ、れ、廉の家に送るから!」

　紫耀が最悪のタイミングで話を切り出してきた。

　廉は口をパクパクさせている。

　何故だ、何故そうなる・・・？

　テンパり過ぎた紫耀は廉の腕を掴んだままぐんぐん車に戻ってしまった。

　取り残された西畑は1人で頭を抱えた。

　