この世界で君は (ページ26)

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紫耀「大吾、着いたよ・・・起きて」

　聞き慣れたハスキーボイスに起こされた。

いつのまにか寝てしまったらしい。目が覚めると見慣れた事務所があった。

　何故かいつもより大きく感じて、眩暈がする。

紫耀「じゃあ、俺はここで待ってるから」

　西畑の様子を察した紫耀は優しく背中を押してくれた。

紫耀「・・・がんばれ」

　紫耀にその言葉を言われたのはなにきんコンサート以来で、引っ張られるように後ろを振り返った。

　でも、紫耀の背中が見えるだけだ。

　今では大スターになった紫耀の背中に「ありがとう」と呟き、事務所へと歩みを進めた。

　ポケットの携帯が震えていたので、開いてみると正門から来ている。

『がんばれ！』

　心の中で紫耀と全く同じではないか、と笑ってしまう。

　でも、正門の言葉が隣にいてくれている気がした。

　今、どうあがいても未来は変わらない。

　分かっているが、正門が隣にいてくれるなら出来るとこまでやってみよう。

　