この世界で君は (ページ24)

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西畑side

廉「紫耀！超～気をつけて運転してな！」

　心配しすぎな廉がマネジャーさんに引きずられながら叫んでいる。

紫耀「はいはい、分かったから、いってらっしゃい」

　よく分かってない紫耀がくしゃくしゃの顔で笑った。

紫耀「事務所でいいんだよね？じゃあ行こうか！」

　紫耀がなぜこうなったかを聞かずにいてくれる。これが、廉のよく言っている「紫耀の気遣いはすごいで！」の意味かもしれない。

　相変わらず紫耀の話ばかりやと思って、おざなりに聞いてしまい申し訳なかった。

平野「何一人でニヤニヤしてるの？」

　ジェントルマンな紫耀は、助手席のドアを何も言わなくても開けてくれる。

「ありがとう・・・今思ってたんよ、世間は不仲やら何やら言うとるけど、廉にとっての紫耀は今でも兄のような存在なのかも」

　西畑の話を聞き終えると、紫耀は車を発車させた。

平野「そうかな、でも俺嫌われてるからさ」

　紫耀らしくないネガティブな言葉に驚いた。

平野「だって、電話がきたのだって何年かぶりなんだよ・・・いつも、俺にだけ連絡がこないから」

　信号が赤に変わり、紫耀はハンドルに顎を置いた。

　そんなに落ちこむぐらいなら、自分から電話すれば良いのでは？と聞くと、紫耀に睨まれてしまった。

平野「何言ってるの⁉せっかく自然に話せるチャンスがあるなら、直接話すに決まってるよ」

　その姿が昔の自分と重なって見えて、笑ってしまった。

　西畑の青春だった、正門を目で追っていたあの日々に似ていた。

「恋、みたいやん・・・」

　小さな声で呟いたが、紫耀には聞こえていたらしく困った顔をした。

　一瞬の沈黙の後、紫耀が口を開いた瞬間に信号が青になった。