２０ ページ22
廉side
大吾が自分の知り合いを何人か上げては諦めたように首を振った。
大吾が悩んでいる間にも、メンバーの今日の予定を頭の中で復唱する。
全員の顔が脳裏をよぎったが、思い当たる人は1人しかいない。
紫耀の予定以外は、ぼんやりとしか覚えてはいない自分に悔しさを覚える。
紫耀に連絡したい気持ちでいったら、誰にも負けない自信はある。
けれども、俺は他の人と違い、紫耀に既読スルーや電話を無視されて折り返しもないと深く心に傷がつく。
自分が傷つくのを恐れてしまい、ここ数年まともに連絡が取れていない。
いつもの俺だったら何とか理由を付けて逃げているが、今日の大吾の勇気に比べると俺のすることなどそれ程のことではない気もしてくる。
「そやな、連絡だけでもしてみるか・・・」
その言葉に大吾が嬉しそうに笑った。何がそんなに嬉しいのか分からない。
「5回のコールで出えへんかったら切るな・・・」
自分に保険をかけて置きながら、「紫耀」と書かれた番号をタップした。
心臓の音がどんどん早まる。
『proo・・もしもし、れ、廉？』
俺の不安とは違い1コールで出てくれたことが苦しいぐらい嬉しかった。過剰反応のしすぎだと思ってはいるが、笑みがこぼれてくる。
「しょ、紫耀、昨日はありがと・・・今日ってオフよな、今から車出せる！？」
テンパり過ぎて、紫耀に上手く伝わっているかがとても不安だった。
助けを求めるように大吾の方を見ると、笑顔で電話を代わってくれた。
西畑「もしもし、紫耀？あの、うん、そうなんよ・・・西畑を送ってほしいんよ」
どうやら、紫耀が引き受けてくれたらしい。
大吾も1人で電車に乗るのは不安だったらしく、安堵のため息をついた。
西畑「ほんまに、ありがとう。いつかこの恩は返させていただきます！・・・うん、了解」
2人の話が一段落したらしい。終わったと思っていたら、大吾がスマホをこちらに渡した。
西畑「紫耀やで！」
満円の笑みで電話を代わってきた。無理だ、と伝えたくて首を横に振ったが、押し付けられてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 356人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「なにわ男子」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はやせ | 作成日時：2021年3月14日 18時
