それはまるで蝶のようだった (ページ10)

今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:134,566 hit

異国の地ページ10

.

マカオ国際空港に着いたのは夕方だった。

キャリーバッグを引きずりながら
到着ロビーを出て周りを見回す。

確か、ネイビーのブラウスに
白いストールをしている人がいるはず…

すると、トントンと肩を叩かれた。

「はい？」

「もしかして、立花Aさんですか？」

「はい。もしかして… 」

「 EXOスタッフの野村と申します」

そう言ってぺこりと頭を下げた女性は
確かにネイビーのブラウスに
白いストールをしている。

「初めまして、立花Aです。
滞在中よろしくお願いします」

「こちらこそ、
遠路はるばるありがとうございます」

「バンを待たせているので」と
野口さんは私のキャリーバッグを持った。

「あ、荷物は大丈夫ですよ！」

「いえ！ダメです。
怪我をしている方にわざわざ
異国まで来ていただいたのに
荷物を持たせて歩くなんて
メンバーに怒られますから」

そう言って野口さんは苦笑いをする。

…それはあまりに過保護じゃ…

正直、そこまで？という疑問が浮かぶ。

「あの…どうして私が
EXOに招待されたんでしょうか？」

「それはメンバーに
聞いた方が良いと思いますよ」

野口さんは微笑むと
ロータリーに向かって歩き出した。

.