それはまるで蝶のようだった (ページ32)

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空気を味方にページ32

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SHINeeならドームツアーをよくやっているし
テレビでもよく見るから知っている。

特に最年少のテミンは人気が高いって…。

あれ、もしかして……

『オッパの親友ってテミン…さん？』

すると私の存在に気付いたテミンさんが
驚いたようにオッパを見た。

『え、ちょ、ジョンイナ！？
俺、聞いてないよ！？』

『だって言ってないし』

『何それ！親友なのに！

初めまして、俺テミン！』

『初めまして、立花Aです』

『 A…？もしかして、日本人？』

『はい』

「わぁ、そうなんだ！
僕、日本語得意だよ～」

テミンさんが発した日本語は本当に上手だ。

さすが日本で長く活動しているだけある。

『テミン、AがBlack Pearlのダンス
見たいって言うから一緒に踊ってよ』

『お安い御用さ～』

テミンさんは上着を脱いで
手首と足首を回すと
鏡の前に立った。

オッパが音楽を流す。

韓国でもトップアイドルが２人、
しかも特にダンスが上手いと言われている２人が
こうして鏡の前に立つだけでも
オーラがすごい。

そして、踊り出した２人は
完全に空気すら味方にしていた。

挑発する視線。

圧倒的な強さ。

持ち合わせている妖艶さ。

すべてが常人を超越している。

こんなダンス、見たことがない。

でも、オッパたちのダンスに
ワクワクしたのと同時に、
もう踊れなくなってしまった自分に
不甲斐なさを感じるしかなかった。

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