それはまるで蝶のようだった (ページ21)

今日:22 hit、昨日:0 hit、合計:134,572 hit

望みは、ページ21

.

進路面談までの１週間。

私は、自分の周りのことを整理した。

今までは、私にはダンスしかないって
勝手に思っていたけれど、

私には心配してくれる両親がいて、

大好きな親友の芽映がいて、

そして、オッパがいる。

それだけでも幸せなことなのに
どうして今まで気付けなかったんだろう。

そして、今一番したいことを考えた。

オッパに、ちゃんと感謝を伝えたい。

私にダンス以外の道を考えさせてくれたのは
間違いなくオッパの言葉がきっかけだから。

ちゃんと自分の言葉で、

自分の口から伝えたい。

『 …ヨボセヨ、オッパ？』

『 A？どうした？』

進路面談の後、
高校の屋上から夕陽を見ながら
オッパに電話をかけると、
オッパはすぐに出てくれた。

あのね、オッパ。

私、オッパにたくさん
ありがとうって言いたいの。

だから、この道を選んだよ。

『わたし、だいがくで、
かんこくごべんきょうする』

芽映に教えてもらって、ネットで調べて、
これだけはオッパに韓国語で伝えたかった。

この１週間考えて出した結論。

私は大学に進学して、韓国語を勉強する。

オッパが話す言葉を知りたい。

オッパが育った国を見てみたい。

そう思ったから。

すると、電話の向こうで
オッパが小さく息を吸った。

『本当に？』

『うん』

『 …A、』

『ん？』

『ありがと、っ…』

押し殺したような声と、
小さく鼻をすする音。

オッパが泣いている。

『こちらこそ、ありがとう』

私に、希望の光をくれて。

…でもね、オッパ。

サプライズはまだ終わらないよ？笑

.