それはまるで蝶のようだった (ページ20)

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手の鳴る方へページ20

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" それから俺は自分がどうしたいのか考えて、
やっぱりアイドルになりたいと思った。

アイドルになりたい自分の気持ちだけは
信じていいって思えたんだ。

デビューしたのはそれからすぐだったよ。

だからさ……

Aも自分のこと、信じてあげて。

好きなことや興味のあることに
向いてる感情には嘘がないから。

もしかしたら、Aが進むべき道は
その中にあるのかもしれないし、
Aが心の底から望むものも
その中にあるのかもしれないよ "

オッパの言葉は、まるで
『無理に別の道を探さなくてもいいよ』
と言ってくれているようで、
ガチガチに固まっていた心が
解けていくようだった。

『 …オッパ、コマウォ(オッパありがとう) 』

『 ……ホル！？(え！？) 』

繋げたままの電話で
芽映に教えてもらった"コマウォ"を使うと
オッパは驚いたように声を上げた。

「 …A、いまのだめ」

「えっ、発音が？」

「ちがう。…ほかのひと、つかっちゃ、だめ」

オッパのたどたどしい日本語に、
なぜか照れたような口調が可愛い。

どうやら「他の男に使うな」って
言いたいみたいでくすぐったかった。

思わず笑うと電話の向こうで
オッパが何やらブツブツ言っている。

それから「しごと、行かなくちゃ」と
オッパが言ったからバイバイして電話を切った。

オッパのおかげで
やっと前に進める気がしてきた。

電話を切ってからすぐに
パソコンにメッセージが送られてきた。

" A、不意打ちは禁止。
あとで覚えてろよ？ㅋㅋ "

オッパはどことなく子供っぽい。笑

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