それはまるで蝶のようだった (ページ16)

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一人の男ページ16

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一目惚れした、なんて
いきなり言われても、

彼は世界中で大人気のアイドルで、

私はただの高校生。

しかも、彼は韓国人で

私は日本人。

現にこうやって翻訳機能を使わないと
言葉を交わすこともできない。

それなのに一目惚れ、なんて。

すると、カイさんはまた画面を見せながら
私の顔を覗き込んできた。

" 「俺がアイドルだから」って考えてるでしょ "

「……！」

いたずらっ子みたいな表情をしても
顔が整いすぎている。

カイさんは面白そうに笑うと
また画面に何かを打ち込んた。

" 俺は確かにアイドルだけど、
プライベートは家族で食事したり、
友達と騒いだり、犬の散歩に行ったり
１人でドライブしたり、普通の男だよ。

だから、俺と友達になってくれない？ "

" 友達？ "

" うん。カトクしたり電話したり
たまに会って色んなことを話してさ。

だって、今日初めて話したばかりなのに
いきなり付き合ってなんて言えないよ "

"言ったって振られるのがオチだしね"と
彼は笑った。

ステージの上のカイさんは
完璧な人間に見えるけれど、
すごく恋愛下手みたいで可愛く見えた。

" いいですよ。友達になりましょう？ "

こうして私とカイさんは
国境を超えた友達になった。

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