それはまるで蝶のようだった (ページ12)

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夢見心地ページ12

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公演が終わり、周りの観客が帰っていく中
私はさっきまで光り輝いていたステージを
ただただ見つめていた。

「立花さん」

「あ、野口さん」

「行きましょう。
彼らが待ってます」

野口さんに連れられて
関係者通用口を通る。

なんだか夢見心地だし
不思議な気分だ。

東京ドームの時はこんな気持ちに
ならなかったのに。

「ここです」

野口さんはドアをノックして
韓国語で何か言葉をかけた。

そして、ドアを開ける。

「どうぞ、入ってください」

おずおずと中に足を踏み入れると
ステージから感じた熱気が
まだ漂っているし、
スタッフがバタバタと走り回っていた。

部屋の手前にはパーテーションが設けられていて
奥には衣装や簡易的なテーブル、
その上に転がるメイク道具類が見える。

すると、そのパーテーションの上から
ぴょこっと誰かが顔を出した。

男性にしては小さな顔に
くりっとした大きな目。

耳は大きく開いていて、
なんだかスターウォーズのヨーダみたい。

そんな彼を見て野口さんは
『チャニョラ』と呟いた。

それから何やら韓国語で会話をしていたけれど
その大きな目が私を捉えた。

なんだか納得した顔をすると
「ちょっとまってて」と、
たどたどしい日本語を話すと
パーテーションの向こう側に消えていった。

「ジョンイナー！」と低い声が聞こえる。

しばらくして
パーテーションの向こうから姿を現したのは、

『 ……あ、』

あの"彼"だった。

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