ねぇ、聞こえますか。（青×桃） (ページ2)

今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:14,181 hit

2 ページ2

青side

なんの刺激も楽しみもない人生に光をくれたのは
あなたでした。

真っ白なカレンダーに予定が入る度、
恋に落ちていく音がしたから。

～過去～

青「あ、原稿の締切あと3日しかないやん。」

小説家の俺は締切に追われていた。

カレンダーには、ほんまに小さな〆の文字。

小さい頃はカレンダーには遊びの予定がずらりと並んでいて、それが当たり前だった。

やからかな、カレンダーには出来るだけ仕事の予定を書きたくないねん。

「今日も今日とて真っ白なカレンダーですこと。」

少々はんなりとした独り言を呟いて原稿に目を向ける。

あとはちょっとやから締切までには終わるかな。

もともと都会に住んでてんけどほんの些細な出来事で異常に音に敏感になってしまった。

買い物しようにも話し声や、車が走る音、店に流れるBGMが気になって偏頭痛を起こしてしまう。

「俺、家出るわ。」

流母「なんで？ここ都会やしやりたい事はある程度出来るやん、東京行くん？あんま変わらんて。」

「ん、ちゃう田舎の方に住もうと思って。」

流母「いや、そんなn…はぁ、私がこんなん言うてもどうせ行きよるやろ？」

頑張りや、そう言って母は背中を押してくれた。

心地の良い波の音が心を癒してくれます。

不動産のポスターに書いてあった場所に引越した。

2LDK、風呂トイレ別、家賃4万

しかも、駅まで徒歩40分。俺にとっては好条件でしか無いこの物件。

ここなら車の音も、電車の音も。人工的な音が聞こえないで済む。

「引っ越して来たはええけど仕事なにするかなぁ…」

「んー、内職がええねんけどなぁ…」

漫画家？デザイナー？データ入力？プログラマー？

探せば幾らでも出てくる。けど、

俺の勘が違うっていうてる。

ふと、こんな事を思った。

あえて殻に閉じこもって、自分だけの世界を作るような、人に影響を与えるような仕事がしたい、と。

小説家とか？……ありかも。

早速物語を書いて、出版社に送る。

確か、俺の実話に基づいた話。

ちょっと学生時代のモテっぷりを自慢したいな。と
思ってそっち系の話も書てみたり。

なんの前振りもなく送ったからもしかしたら送り返されるかもって思ったけど

優しい担当者さんが目を通してくれたらしい。

封筒の中に連絡先を書いた紙を入れてたから

送って少し経った頃、電話が掛かってきた。

？「もしもし」