そ れ で も 歩 く 〜12〜

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・安田


それから3日。


熱も下がって、心配されとった喘息も悪くはなってへんって診断で諸々一安心。


薬も効いているようで、咳もだいぶ治まった。





渋やん自身も少しずつ覚悟ができてきて、初めは目を背けとったこの病気とも、しっかり向き合い始めた。



よこちょに薬の使い方を教わったりして、自分でも色々調べて勉強しとる。





「ここカチッてしたらな、中でちっさいパック破れて薬の粉出てくるから。

思いっきり息吸う感じで、そう気管に届かせなあかんのやから。

しっかり吐いて・・・スッて、そう、上手いやん」




慣れるまではもう少しかかりそうな渋やんに、よこちょはゆっくり寄り添って支えとる。


渋やんも、よこちょがおるんが安心するようで。





まだ大きい発作は起こしてへんけど、日常の薬が増えただけやなくて、発作を鎮める薬も持たされとる渋やん。


これが無いと本人も不安なようで、肌身離さず持ち歩いとる。





先生も、ライブに向けて最大限協力する、と約束してくれて。


数日後の受診で、リハ再開の許可が出た。



あくまでも、激しい運動は禁止。


ダンスなんかはしばらく様子を見てからにしよ、って話はしてあって。




ブルースハープも心配されとったけど、結構大丈夫、って少し吹いてみた本人は嬉しそうやった。






気づけば、LIVEまで2週間を切っとった。


幸い時間の無さに焦って体調を崩すようなことはなかった渋やん。


LIVEの存在が渋やんを強くして前を向かせてくれてるのかもしれんけど、
ギリギリの綱渡りやって事実は、よりはっきりしたものになってもうたと思う。







それでも渋やんは、懸命に前を向いた。

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