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【80】 ページ2
「へぇ、大きくなったな。」
「ね、早いね。」
ぐつぐつ、と煮立ったお鍋を見ていたら。
「何か洒落たもん作ってるね。」
ふら、っとキッチンに来た彼はお鍋の中を見てそんなことを言う。
ちょっといつもと違う様子が違う彼を、首を傾げて見ていると。
「何そんな見てんの。」
「ぃたっ…、」
意地悪な笑い声を零したと思ったら、ﾋﾟﾝっと弾かれたおでこ。
「和也くん私のおでこ弾きすぎ…。」
「でこぴんし易いんだよ。」
意外と痛いんだからね？
そんなことを思いながら、ジト目で彼を見つめていると。
「ふはっ、何その顔。」
盛大に笑った彼は軽く謝りながら、後ろから私のことを抱きしめた。
「‥どうしたの？疲れた？」
甘えるような態度が珍しくて、思わず聞いてしまう。
「んー…、今日やっとあの仕事終わったからさ。」
「本当？お疲れ様。」
「うん。」
頬に触れる彼の頬。
近すぎる距離には、未だに心臓が飛び出しそうなくらいにﾄﾞｷﾄﾞｷする。
色素の薄い彼の瞳が色づいたことに気付いた時には、もう唇は塞がれていて。
逃げられないように、顎先を捕えられていた。
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作者名：和音
| 作成日時：2019年5月4日 19時
