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【05】 ページ5
講義が全部終わって教室を出ると、
壁に寄り掛かりながら、
スマホを操作している彼が待っていた。
「ズルいなぁ…。」
ただ壁によりかかってスマホを弄っているだけなのに、
とんでもなく格好良く見えてしまうのは、私が彼を好きなせいだ。
「‥終わったんなら声掛けろや。」
「あ、ごめん。」
しばらく彼に見惚れていると、
私に気付いた彼は可笑しそうに笑いながらそう言った。
和也くんが格好良すぎるのが悪いんだ。
そんなワケの分からない文句を心の中でぶつけてみる。
「行きたいトコあんでしょ？」
「あ、うん。」
「じゃあ、早く行こ。」
スマホをポッケにしまった彼は、
何の躊躇いもなく私の手を握って歩き出す。
時間がどれだけ経ったとしても、
好きな人に触れるのはものすごくﾄﾞｷﾄﾞｷする。
掌で溶け合う２人の体温が心地良くて、
優しくて甘い気持ちが、心を支配していく。
手を繋ぐだけでも、好きの気持ちが溢れていく。
少し空いている彼との距離が寂しくて、
彼の方に少し体を寄せると。
「今日どこ行くの？」
彼は優しく笑って、
繋いだ手をくっと自分の方に引っ張った。
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作者名：和音
| 作成日時：2019年5月4日 17時
