【31】 ページ31
*side和也*
「和也くん？」
俺を呼ぶその声に、はっとする。
「あぁ、何？」
「あの、ココは？」
気付けば人気のないところにまで来てしまっていた。
「あー、まぁすぐ戻るからさ。」
「それは全然いいんだけど…。」
水着っていいけどさ。
そりゃあ男にとっては堪らないものですけど。
自分の彼女が着るとなると、
それはちょっと違う問題が発生してくるワケ。
「とりあえずさ。」
「うん？」
「これ、羽織っといて。」
「え？パーカー…？」
自分が着ていたパーカーを彼女に渡すと、
こてん、と不思議そうに小首を傾げる。
「どうして？」
「いいから。羽織っといて。」
そんな姿、他の男に見せられるかよ。
「‥やっぱり、似合ってない？」
「は？」
「ううん、何でもない。ありがとう、着てるね。」
少し悲しそうに笑ったAは、俺のパーカーを素直に身に纏う。
‥だから、そういう意味じゃねぇっつーの。
「ねぇ。」
「ん？え、ひゃっ…！」
羽織っていたパーカーを剥ぎ取ると、
剥き出しになる白くて細い肩と浮き彫りになっている鎖骨。
「‥何で分かんないかな。」
「和也くん……？」
普通の水着みたいに、
胸元はそんなに露出していないようだけどそんなの関係ない。
その白くて細い腕も、腰も、脚も。
全て曝け出したその姿で、
あんなチャラついた男がわんさか居る所に居させられるかよ。
・
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作者名：和音
| 作成日時：2019年5月4日 17時
