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【12】 ページ12
「おじゃま、します…。」
「そんな畏まんなくてもいいだろ。」
「だって…、」
初めて来るワケではない。
だからと言って、そんなに頻繁に来ているワケでもない。
相変わらずあまり物のない部屋で、
生活感がまるでないモデルルームみたいなお部屋。
「突っ立ってないで、座りなさいよ。」
「あ、うん。」
何をするでもなく、
ただぼーっとその場に立っていた私を見て、
彼は笑いながらそう言った。
「何か飲む？」
「ううん、大丈夫。
それより和也くん夜ご飯どうする？」
「夜ご飯？あー、もうそんな時間なんだ。」
部屋にあるデジタル時計を確認した彼はそう言って。
「A、何か作ってよ。」
「それは全然良いけど、材料買いに行かなきゃ。」
基本的にデリバリーで済ませてるって言ってたし、
冷蔵庫にはお水とコーヒーしか入ってないとかこの前言ってたし。
バッグから財布を出しながら彼にそう言うと。
「材料ならあるから、買い物は必要ないよ。」
「え？」
見てと、そう言われて、
彼に言われた通り冷蔵庫を開けてみると。
「あ、本当だ。」
何か作る予定だったみたいな材料がその中にあって。
「ハンバーグ、作ってよ。」
ね？と首を傾げて、
少年みたいに目をｷﾗｷﾗさせた彼はそう言った。
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作者名：和音
| 作成日時：2019年5月4日 17時
