それはあなたの最期の言葉でした。２【Satoshi.O】 (ページ10)

今日:5 hit、昨日:8 hit、合計:44,993 hit

◆◇４０◇◆ ページ10

　
　
・

・

雑貨屋の次は洋服屋に足を踏み入れた。

適当に店内を歩き回っていると、良く知った背中を見かけた。

人違いかと思いつつも、横からひょいと顔を覗いてみる。

すると翔に気付いたようで、いつもの陽気な声が店中にこだました。

「翔！こんなところで会うとはなぁ！」

「ちょっと、声でかいわ(笑) 何、服買いに来たんだ？ヒナ、全然オシャレなイメージないけど(笑)」

「うるさいな(笑) お前こそ何しにいるん？」

「にぃの誕生日プレゼント探しにね。明日だからさ」

「明日か！ほんなら俺も探すの手伝うわ！」

偶然にも関わらず一緒に探し始めた信五。

結局、これからの季節にと青いニットを買った。

・

「ありがとね、たまたまだったのに」

「全然ええって！お兄さんにおめでとうって伝えとってや」

「うん、分かった」

立ち話も何だからと少し歩いた所にあるショッピングモールのフードコートに来ていた。

「そういや、どう？最近のお兄さん」

「あー、足がね。ちょーっと歩きづらくなってるみたい」

「そうかー。いつその時が来るかも分からへん。やから今すぐとは言わんけど覚悟、しとけよ」

「……うん」

ほな、と言って信五は帰って行った。

覚悟、か。

しばらく考えていたら外が真っ暗なことに気が付いて、翔は急いで家に帰った。