それはあなたの最期の言葉でした。２【Satoshi.O】 (ページ21)

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「ここかな」

表札に書かれた『嵐』の文字を確認して、呼び鈴を鳴らした。

すると中からはーい、という軽快で久しぶりの声が聞こえ、頬が緩む。

「いらっしゃい」

「久しぶり、翔にぃ」

「暑いでしょ？エアコン効いてるから、入んなよ」

「うん。お邪魔します」

家族の家なのにお邪魔しますと言ったことに少し変な気持ちを覚えたが、持っていた荷物はさりげなく翔の手に渡り彼は中へ入る。

「じゅーん！和来たぞー！」

この時を待っていたのだろう。

その呼びかけで騒がしく階段を駆け下りる音が、家中に響いた。

「和！久しぶり！」

「おわっ！ふふっ、寂しかった？」

「べ、別に？もう大人だし。寂しくなかったよ！」

「じゃあ何で俺は抱き締められてんの？(笑)」

「……」

バッと離れると、潤は俯いた。

照れる気持ちを隠すように。

「ふはっ、やっぱ双子だな。今まで無かったもんな、こんなに離れたこと」

1日の気温が一番高くなると言われる時間。

兄はそう呟いてキッチンから優しい眼差しを送っていた。

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大学が夏休みに入り5日ほど経った頃、和がこうして東京へとやって来た。

3人で昼ご飯を食べながらワイワイ話す声は、外で絶えず鳴くセミの声を掻き消すほどだった。