それはあなたの最期の言葉でした。２【Satoshi.O】 (ページ17)

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──半年後。

季節は冬から春、そして夏へと移り変わり、無事現役で大学に合格した双子は、兄は札幌、弟は東京で大学生活初めての夏を迎えようとしていた。

「ただいまー、って誰もいねぇか」

久しぶりに良く晴れた今日、智は一人で少しの散歩に出かけた。

とは言っても、車椅子だから歩いているわけでもなく、そんなに遠くへ行けるわけでもなく、ただ気持ちいい風を感じながら近所をゆっくり、タイヤを回していく。

車椅子になって、やっぱり最初は嫌で自分が怖くて仕方がなかった。

それでも、入院している間に出会った車椅子に乗る人や同じ病気の人を見て、少し元気が出たのだ。

そして実際に乗ってみれば、普通に自分の足で立って歩いていた頃とは違う景色が見えた。

当たり前なんてない。

それを感じられただけでも、智は少しだけこの病気になって良かったと思えた。

前よりも全然笑顔が戻った兄に喜びを感じている人は少なからずいるわけで、この男も当然その一人。

「あ、おかえり」

「おわっ！びっくりしたー。潤、大学は？」

指でクルクルとイヤホンを巻きながら、早く終わったんだと話し今度は潤が智にどこに行っていたのかと問うた。