それはあなたの最期の言葉でした。２【Satoshi.O】 (ページ15)

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どうしよう……起き上がれない……誰か、たすけ……

「っ……はぁ、ゆめ？」

寝ぼける目で追うのは正面の壁に掛かる時計。

まだ4時だ。

外は真夜中とさほど変わらない、真っ暗闇。

冬なのに智の額は汗ばんでいた。

汗を拭うためタオルを取りに立ち上がろうとする。

だが……布団から動けない。

あぁ、そうか、これが俗に言う金縛りか。

良くない夢の後だから。

智はこう一人納得して朝になれば大丈夫だろうと、また眠った。

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「……ぃ、にぃ」

遠くから声が聞こえる。

それは、聞き慣れた弟の声。

翔が夢の中で呼んでいる。

智は少し微笑むと、今度はトンと肩を叩かれて漸くこれは夢ではなく現実だと気付いた。

「おはよう。朝だよ」

「ん、はよ」

……

一瞬、智の顔が歪む。

それを見逃さなかった翔は、すかさず問いかける。

そして、次の言葉が翔の顔をも歪ませ、悲しみの色へと染め上げた。

「……起き上がれない。足が……動かないよ」

「……」

智も翔も、嘘であって欲しかった。

あの夢も、金縛りだと思っていたつい数時間前の感覚も。

確かに、ここ最近足の動きが悪くなっていっていた。

翔が大学に行っている間父と病院に行き、そろそろかもとも言われていた。

それでも、誰がこんなに早いのかと思うのだろう？