それはあなたの最期の言葉でした。２【Satoshi.O】 (ページ14)

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「そっか。父さん、俺んときと同じこと言ったのか」

『うん。で、雅紀と夕飯張り切って作ってくれてさ』

「はは(笑) 父さんらしい。とりあえずお疲れ様。でもまだ気抜くなよ、潤」

『分かってる。ここからが勝負だもんね』

「あぁ。頑張れ、お前なら大丈夫だよ」

『ありがとう』

「和にもよろしく言っといて。じゃ、おやすみ」

──東京。

同じ日の夜、最初の大事な2日間が終わったという報告に軽く胸を撫で下ろすのは、潤が目指す大学に在籍する翔だ。

電話を切って、リビングのダイニングのイスに座って一人、2年前の自分を思い返す。

それまでの人生で最大の分岐点。

辛かった、でもだからこそ今の自分がある。

努力は必ず報われる。

それを弟たちに知って欲しい。

そんな願いを込めて、翔は智の部屋を少し覗いて眠ったのを確認してから、自分も2階へ上がって眠りについた。

だがこのとき、翔は完全に忘れていた。

少しの平和が、笑顔が戻った日々に紛れていた嫌な影が、すぐそこに。

目の前に潜んでいることに。

それは突然やってくる。

彼らの恐怖心など構いもせずに。

運命はどうして……こんなにも残酷なのだろう。