それはあなたの最期の言葉でした。２【Satoshi.O】 (ページ1)

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『治らないみたい』

父は智の言葉が頭にくっ付いて離れない。

その電話以来俯いて黙ったままの父を、心配する息子たち。

雅紀は2人を自分の部屋へ呼んで、こう切り出した。

「父ちゃん、なんか変じゃね？」

「電話、にぃからだったんスよね」

「にぃ、なんかあったのかな？」

「聞いてみる？」

「いや、父さんが何も言わないってことは俺たちには知られたくないことなのかも」

和也の最もらしい考えに、雅紀はふーんとため息を付く。

「とにかく、話してくれるまで待つべ」

そう言うと、潤は勉強があるからと部屋を出て行った。

ドアが閉まる音が、何だか虚しく聞こえた。

「にぃに何かあったら……」

「……そんな顔でいつまでもいないでよね。雅紀は笑ってないと。あなたらしくない。それに」

座っていたベッドから立ち上がってドアの前へ行く和也。

そして、捨て台詞のように

「にぃもそんな雅紀は見たくないと思う」

と呟いて自室へ戻って行った。

一人になった雅紀は、心を落ち着かせようとベッドに横になってみる。

そして、そのまま眠ってしまったようで、次に目が覚めたときにはもう夏の陽射しがカーテンの隙間から漏れてきていた。