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side Ren

「目黒、お願いだ。渡辺クンたちの所に行ってくれ。」

「…行って翔太くんを助けろと？」

「助けろとまでは言わない。ただ、現場がどんな状況なのか、見て来てくれ。それで俺に伝えろ。」

「もし、翔太くんが危険な状況だったら？」

「俺をその現場に飛ばせ。」

そんなボロボロの舘さんを瞬間移動させて、それでまた、翔太くんの為に己を削るとでも言うつもりですかね…。

「…それは俺が許可しないっすわ。」

「俺の言う事が聞けないのか、目黒。」

舘さんの表情が険しくなる。
警察も猛獣を飼うようになったんすね。
それを上手く飼い慣らしているのが、翔太くんなんすけど…自分の敵に対し、凄い眼差しを向けますね。

「あーそんな目で見ないでほしいよ。俺が大好きな舘さんでも、そんな頼み、聞けるわけ無いでしょ。自分の体、少しは大切に労るべきです。」

「……仕方無い。俺が行くのは最終手段として残しておこう。取り敢えずは目黒、見に行け。それで渡辺クンのフォローでもしてくれ。」

俺が翔太くんのフォローねぇ。
そんな事したら、翔太くんに怒られそうなんですよね。あの人、俺と舘さんが一緒に居るだけで不服そうな顔するから。

「阿部、それなら、お前も許してくれるだろ？」

「うん。完全に回復してない舘さんが目黒と一緒に現場に同行するのはダメだから。医師である俺がそれを許したら、終わりだしね。」

こっちの気持ちは考えてくれないんすか？
GIFT事件以降、舘さんとはこうして会話する事が出来ても、翔太くんとは気まずい。

「頼む、目黒。」

「じゃあ、もし、翔太くんを助けたら、何かしてくれます？」

俺も意地悪だな。
交換条件なんか持ち出して…。
でも、これくらいした方がモチベーションが上がって良いんすよ。

「……お前の言う事…何でも聞いてやる。」

「ちょっ！舘さん、大丈夫なの？」

「心配するな、阿部。人の命とこんなの天秤に乗せても命の方が大切に決まってる。目黒、俺に対する望み、ちゃんと考えておけよ？」

「最高っすわ。幾らでも飛んでやりますよ。」

「目黒も目黒でチョロいよ。」

阿部くん、今のはスルーしておきますよ。
俺の気分を害する事、サラッと言わないでほしいですね。

「そんな事、言われたら、俺、すぐに戻って来てやりますよ。」

「おう。信じてるぞ…目黒。」

だから、俺は翔太くんの所に行ったんですよ。