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side Ryota

不意に俺は先生の言葉を思い出した。
極秘で対面した時。
ラウールの能力の存在、そしてその計画を知ったと同時に俺の事も教えてもらったんだ。

「もう一つ、教えていただきたい。」

「何だい?」

「最強と名高い俺の…いや、元々、翔太に備わっていたこの能力を使う度に…何だか違和感を覚えるんです。俺に適合しているからこそ、交換した筈なのに。」

ボロボロになりかけた事もあったし…。
阿部に色々と迷惑をかけているのも事実だ。

「……やはり、そうか。」

「知ってる事があるんですか?」

「涼太とこの能力の適合率は凄まじいものだ。だからこそ、入れ替えた。だが、能力を使い過ぎも良くない。酷使すると何れ、君の身体が壊れる。最悪の場合、命に関わる。涼太、能力の使い時を考えるんだ。君は警察に良いように使われているだろう?」

「それは…。」

「翔太を守る事に固執し過ぎだ。自分の身を削り過ぎじゃないか。君は翔太を守る為に生まれた訳じゃないのに。そこまで背負う必要はない。」

「………先生(あんた)がそれを言うんだな。お笑い草だ。」

翔太と入れ替えさせたくせに。
なんて皮肉を言ったところで俺の気が晴れる訳じゃないし、現実は変わらない。
俺は能力を使い過ぎる度に命という名の結晶を壊しているらしい。

「要するに寿命が縮むって事なのですか?」

「そこまでの詳細は分からない。だが、気をつけてくれ。結果的に息子を悲しませるかもしれない。そういう未来は避けたい。」

「……。」

自己犠牲なんてどうだっていい。
この能力で結果的に死ぬのは別にいい。
俺はただ、人を救いたい。
この忌々しい能力で助かる命があるなら…。

「涼太、無茶だけはしないで!」

「………さあね。」

俺だってこんな所が墓場になるのは勘弁だ。

「…佐久間、随分と腰が引けた能力だな。もっと本気のお前が見たいよ。」

「黙れ。消えてもらうよ。」

「消えてもらうのは佐久間に掛けられた厄介極まりない能力の方だ。」

抗うしかない。
能力を悪用する奴らを止める為に。
今度はナイフが勢いよく飛んでくる。

「……滞りなく消すのみだ。」

指を鳴らし、全てのナイフの動きを止める。

「まだまだ終わらないよ、宮舘涼太!」

落ちたナイフが牙を剥く。
軌道修正をしたのか。

「それでも俺はお前を止める。」

俺は佐久間との間合いを詰める。
ナイフの軌道を読み、能力の解除を同時に行う。


「…佐久間、戻ってこい。」

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作者名:赤雪 | 作成日時:2020年7月9日 23時

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