Create (ページ27)

今日:16 hit、昨日:8 hit、合計:91,320 hit

▼ ページ27

side Tatsuya

「涼太、今後、どうするつもりだ？」

「…俺は甘んじて受け入れる。逃げようと思ったが、それはつまり、渡辺クンと二度と会えない人生を送る覚悟があるという事だ。あいにく、俺はその覚悟は無い。ここで自身の特殊能力について研究され、渡辺クンと会える日を悠々自適に待つ覚悟ならある。」

「本当に会えるか分からないけど、待つの？」

「…ああ。」

涼太が気長に待てるのだろうか？
翔太だって、会えるか分からない賭けに、果たして何処まで乗れるのか？

「特殊能力の研究なんか、辛いだけだぞ？」

「深澤クンは俺を逃したいのか？」

「……このままだと、涼太の夜は明けない。」

「夜？おいおい、深澤クン、君は何を言っているんだ？」

「…この先、お前の言う警察としての正義を掲げても辛いだけだ。」

光が差す事は無い。
綺麗な朝日なんて拝めないよ。

「深澤クンは勘違いしているね。俺は警察なんか真の意味で信じて無い。渡辺クンが所属しているだけの組織、そうとしか捉えてない。」

「じゃあ何で！何で…！」

「君が想像するよりも遥かに俺の心は渡辺クンに掴まれていてね…彼の敵になる事は出来ない。能力の暴走によって彼に殺意を向けた事、今でも脳裏に焼き付いて離れないんだ。それでいて、あの時の自分がとても気持ち良かった事も…。これは俺の罪と罰。」

涼太は嘲笑していた。
恥の多い生涯を送ってきた…まるでそう言っているような言動。

「だからって、このまま終わるつもりか？」

「それで俺は構わないんだよ。深澤クンさぁ、これ以上、何も言わないでくれないかな？迷う訳には、俺の目を曇らせる訳いかないんだ。」

自分に言い聞かせているように見える。
本当は何もかも、しがらみから解放されたい。そう言っているように見えるんだ。

「涼太がその気になったら、俺が周りの連中の記憶を書き換えてやるよ。」

俺の特殊能力「記憶操作」を都合よく使ってしまえばいいんだ。

「深澤クン、これ以上の議論は意味が無い。やめてほしい。」

「でもっ！」

「出ていってくれ。これ以上、このつまらない話をするなら、君とは二度と話さないよ。」

何故、そこまで…。
拒否してまで留まろうとする。

翔太が何をしたって言うんだ。
むしろ、涼太がこんな風になった原因はそもそも、翔太だろ？

現実を見ないで、気持ちに蓋をして…。
苦しいのに我慢するんだ。

いつか、爆発しても知らないよ？