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side Ryota
「舘さん。」
「目黒、涼太を止めろ！」
後ろから渡辺クンが息を切らしながら、必死に俺を追いかけてくる。
「目黒、これは俺の頼みだ。お前の能力で俺を現場に連れて行け！」
逆に目黒の能力を活かす方法で。
これなら、絶対、目黒は俺の意見を尊重する筈だ。
「こればかりは翔太くんの肩を持たせてもらいます。舘さんを危険な目に合わせるのは俺だけで十分だし、平和の為に舘さんが犠牲になるのは困るんすよ。」
何を言ってるんだ。
そんな馬鹿みたいな発言をするようになったのか、お前は！
「は、離せっ！」
俺の邪魔をするな。
何が悪いんだ。
自分の特殊能力を活かす道だろうが。
「翔太くん、警察の猟犬の手綱、ちゃーんと握らないとダメっすよ。」
「ありがとう、目黒。怒られる前に止められて良かった。」
「……何故だ。」
俺の特殊能力の真価を発揮するタイミングの筈だ。阿部に治療してもらい、怪我なんか何一つ無い。
それなのに！
すると、渡辺クンの無線が反応する。
上からの指示を聞いているんだろう。
『渡辺、宮舘を連れて現場に向かえ！』
「…了解。目黒、俺と涼太を現場まで瞬間移動させろ。」
これで思う存分、やれるって事か。
目黒はため息を漏らしている。
そんなに俺があの現場に行くのが嫌か？
「舘さんの目、分かりやすくギラギラしてますよ。そういう舘さんは嫌いじゃないっすけど、今回はレベルが違うんすよ。」
「……安心しろ。俺の無効化が通用しない能力なんて無い。」
「はっきりした根拠が無いのによく言えるっすね。」
確かに保証は無い。
それでも、何とかやってこれた。
これは経験値から導き出された勘ってやつだな。
「……どんな困難も…翔太たちが一緒ならば、乗り越えられる。俺はそう思ってる。」
人工的に能力を交換し、代償として痛みを失った忌々しい過去も…。
結局、それがあったら、
苦しくても…誰かの為に自分の能力が活かせるならば、それはそれで構わない。
「涼太。」
「…行くぞ。」
目黒の特殊能力「瞬間移動」のお陰で一瞬で現場に辿り着く事が出来た。
荒れ果てた都会の道路。
煙が上がり、そこに嵐が吹き荒れているかのようだった。
「あれ、前の刑事さんと瞬間移動の人と……もしかして、君がボクが求めている無効化の特殊能力保持者？」
目が合った時、目の前の彼は酷く美しい笑みを浮かべていた。
「ああ、この騒ぎに
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作者名：赤雪
| 作成日時：2020年7月9日 23時
