37話.単騎防戦 ページ40
太陽による逆光の目眩しを利用し、単騎空からの突入を果たしたクロゥは、初動で人質を見張っていた二名を沈黙させ、そのついでの言わんばかりに、気絶させたうちの1人を窓側で外を見張っていた男に投げつけた。
「な、なんだコイツ！？」
「空から飛んで来やがった！ヒーローだ！全員武器構えろ！」
騒然とする敵の数と位置を、クロゥは冷静に把握しながら、細ワイヤーで拘束され人質となっている職員の1人を解放し、そして装備している道具入れの中から取り出していたペンチを手渡す。
「これで皆さんの拘束を」
「っは、……はい！」
ようやく駆けつけたヒーローに安堵したのか、人質となっていた職員達からわぁっと歓声が上がった。
「はんっ、相手はたった一人だ！何ができる！」
「そうだ！やっちまえ！！」
奇襲に面食らっていた犯人集団だったが、相手が単騎であると分かり、加えてクロゥが酷く痩身であった為制圧は簡単だと踏んだのだろう。
我に帰った敵達が吠え、武器をクロゥと人質達に向ける。
_____瞬間、クロゥは自身の足に個性を発現させ、その脚力を駆使して銃口が完全に上に向く前に敵との距離を一息に詰める。と、同時に装備の内から取り出した敵無力化のための携帯捕縛布を構える。
「うわっ」 「っぎゃ！！」
敵が引き金を引く前に捕縛布で銃を奪い、もう一方、無力化した敵の近場にいた一人の向けていた銃身を個性を発現させている足でへし折ってやる。
「二人やられた！？」
「狙え狙え！」
「撃て！………ｶﾞｯ!?」
威勢のいい敵の一人に捕縛布で奪っていた銃を遠心力を利用した勢いのまま首元を狙ってぶつける。
「(……残り、6人)」
無言のまま次の標的に狙いを定め、銃を絡め取っていた捕縛布から手を離し、新たに装備の中からヨーヨー式の武器を取り出し両手に構える。
これは先程の捕縛布から着想を得て自ら考案したクロゥ独自のアイテム"捕縛玩"だ。
ヨーヨー部分となっている丸い皿型が硬い素材で作られているため、敵にそのまま投げつけるも良し。
本来のヨーヨーの軸に巻き付けられている糸だが、この捕縛玩には伸縮性の優れたワイヤーを使っているため、切れにくくクロゥの体重を易々支える強度があり、テクニカルな攻撃も可能だ。
難なく敵を無力化していくクロゥが残り一人を仕留めようとしたところで、下から突入を果たしていた先輩ヒーロー達と合流を果たす。
「よかった！クロゥ、無事だね！」
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作者名：上白糖 | 作成日時：2019年8月23日 14時
