35話.応援要請 ページ37
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パトロール中にインカムから流れ込んできた情報にクロゥは足を止めた。
「立て篭もり事件？」
今日事務&通報受付担当の先輩ヒーローの話によると、大きな銀行が入っているビルを襲ったグループ犯がそのままビルの中にいた人々を人質にとって立て篭っているという。
「ウチじゃなくても対応できそうな案件ですが……近辺でも事件事故が発生してるらしく、そこから応援が呼べないみたいっス」
「人手不足ってわけか」
「このヒーロー飽和社会で？」
「ウチ主力の所長も居ないし、どうします?」
「向かいますか？」
「行きましょう、決断が遅れたらそれだけ失われるものがあるかもしれない」
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現地にて先輩ヒーロー二人と、本件に対応していたヒーロー事務所のヒーローたちと合流する。
「ここ…オフィスビル内で犯行現場となっている銀行が入ってるのは14階から20階。階下の企業.職員の退避は済んではいるんですが」
「数人の人質を取られて27階から上で立て篭っていると」
「グループ犯ですから……対応が難しく……」
「何か、彼方からの要求は提示されましたか?」
「ヒーロー及び警察の包囲網解除と、逃走用の車を要求してます」
「まぁ銀行襲ったら後は逃げるだけだよな」
先輩ヒーローが軽口を叩くと、すかさず別の先輩ヒーローが嗜めるという意味で彼の後頭部を叩いた。
過度に深刻にならないための茶々入れだったのだろうが、それを気に留めることなく、クロゥは淡々と質問を続ける。
「負傷者は？」
「軽症者が何人か……、でも中で人質となっている職員さんたちのことは分からなくて……」
「そちらのチームに索敵能力がある方は？」
「今この現場にはいない」
「ウチもですね……」
後手後手だ。突入するにしても人質の身に危険が及ぶ。
相手の要求を飲んでもやはり何人かの職員を盾としてこちらの追跡から逃れようとするだろう。
万が一逃げられた時、最悪の場合_________。
……考えてもキリがないか。
「突入しましょう」
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作者名：上白糖 | 作成日時：2019年8月23日 14時
