25話.冷たい渦中で ページ27
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"ザバンッ"
深い、水の流れも重い。
昨日まで続いていた雨が原因だろうか。
やっぱりひどく増水してる。
早く見つけて、保護しないと。
荒れ狂う水の中で小さな命とその呼吸を探しながら、腕と足先に意識を集中させ、個性を発動する。
個性________『鳥化』 ……［ペンギン］
個性を発動させる一瞬、一対一で初めて彼と向き合ったあの日の記憶が喚起された。
自分の個性把握のために
「これが自分の個性です」
彼は少し目を見開いた後、どこか納得したように手渡していた資料に目を落とした。
彼が何も言わないので説明を続ける。
「できることとしては、全身もしくは部分的な個性の発動。
自分が鳥と認識する生物の特性を能力として付与、化現できます。発動とその特性の変更する際には体力を使います。
それと、この個性の影響か、相性がいい鳥とは少しだけ会話するとことも可能です。
……これは活動に役立てるか分からないので忘れてもらって構いません」
確か、そんな話をした。
彼はずっと黙って聞いていて……..、最後にこう言ったんだ。
「あなたはどれくらい速く飛べますか」
あの時自分はなんと返したんだっけ？
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個性を発動した事により身体的能力が上がり、濁流の中で自由に動けるようになる。
自由に動けると言っても、元々不調だったためさっきよりマシだと感じるくらいだ。
体力的に問題がある今は早急に解決しなければならない。
さらに意識を集中させて、子どもの所在を探る。
「___________!」
見つけた。瞬時にその方向へ舵を切り、トップスピードで向かう。
茶色く濁った水の中で子供の姿を視認し距離を詰めて、個性を解き、濁流に逆らいながらしっかりとその手を掴む。
______捕まえた。
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作者名：上白糖 | 作成日時：2019年8月23日 14時
