【ヒロアカ】あなたの翼【ホークス】 (ページ13)

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11話.初任務ページ13

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事務所内の設備、案内もそこそこに乃咲さんの足はある一室の扉の前で止まった。

「まずお願いしたいのは…この部屋の整理かな……」

どことなく申し訳なさそうに乃咲さんがドアノブを捻る。開いた扉の先には、紙、かみ、カミ。書類の山だ。

「惨状ですね」

　部屋の奥にデスクらしいものがあるが、その上には床に散らばっている書類とまったく同じものが連なっている。

一歩踏み入り、よくよく部屋を見渡してみると、部屋の壁だと認識していたそれすらも高々の積み上げられた紙の束である始末だ。

　手に数枚、床に散らばる書類の中で目についたものを取り上げる。
　どうやら案件がバラバラの書類が奔放に積まれているらしい。日付も、用件も、何もかもに規則性がない。
受理済みの書類と未受理のもの。
中には期限の迫った重要そうな書類まで見受けられる。

「事務所立ち上げてからしばらくは綺麗だったんだけど….、何かと手が回らなくて、現状この有様です」

「なるほど」

「今日からしばらくはこの部屋の書類整理をお願いするようにってホークスから言われてるんだけど……、
大丈夫かな？」

「はい」

そう答えて数秒妙な間が生まれた。不思議に思って乃咲さんの顔を覗き込むと、どこかぼんやりと呆けた顔で固まっていた。
乃咲さん？、と声を掛けると彼女はハッと我に返ったらしく言葉を続けた。

「と、とにかく！各書類の要件と日にち順でで揃えて欲しいの。処理済みの書類は部屋の隅っこに重ねてる空のファイルに綴じて、まだ未受理のやつはさっきの私たちがいる部屋までお願い」

「了解しました」

「ほ、ほんとに大丈夫…？」

「？はい」

「そ、そっか。何かわからないことや困ったこととかあったら聞いてね！さっきの部屋に梓さんか私がいるから！」

じゃあ私も仕事戻るね！困ったら声かけてね!
そう念押してオフィスへと戻っていく乃咲さんの声にはどこか心配の色が滲んでいた。

乃咲さんの背中が見えなくなってから改めて任された部屋を眺める。新人の初日に任せる仕事ではないな。心配したくもなるだろう。

「………」

これは、彼からの洗礼(嫌がらせ)だと思ってもいいのだろうか。

まぁ、ただただ人不足なだけなのだろうが。

ふぅ、と短く息を吐いて気合を入れ直す。
生憎、書類仕事は得意なのだ。