【オリジナル】アイジョウ～からくり屋敷と夢食いバク～【ホラー】 (ページ15)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:7,270 hit

◆第９話　目覚め◆ ページ15

　
　
｢…シュ…様…ゴシュジン様ー!!｣

｢うぐっ!?｣

突然お腹にクッキーが飛び乗ってきた。
何やら慌てた様子だ。

｢…何…？朝？｣

｢変なヒト!怖いヒトが起きたらイマシタ!｣

私は吃驚して飛び起きた。
床で寝ていた筈なのにベットで寝ていた。
しっかりと布団も掛けられて、
寝間着になっていた。

そして床には見覚えのある人が
眠っていた。
床冷たいけどいいのかなじゃなくて!

｢えっ、え、えっと、え？｣

瞬きして、ほっぺたを軽く叩いた。
…夢じゃない、これは夢じゃない。

驚きすぎて何もできないでいると、
眠っていた人がゆっくりと起き上がった。

｢ん～、やぁやぁおはよう末っ子ちゃん!
清々しい朝だね!
あれ？その反応はもしかして俺のこと
わかんないのかな？｣

くるりと振り返りおどけた様に
明るい声が放たれた。

思い出した。特徴的すぎるその明るさで
すぐに思い出した。

｢…バク？｣

｢そうそう!やっぱり君は忘れんぼうだね｣

｢ゴシュジン様にシツレイ!何のつもり
ですカ!ヘンジンヘンタイヘンシツシャ!｣

ピーピーとクッキーがバクに
文句をつける。
バクは特に気にする様子もなく、
あははと笑っていた。

｢おはよう、アンジュ｣
｢バク、お黙りなさい｣

双子のお姉様がいつのまにか部屋にいた。
二人とも朝御飯であろう目玉焼きを
持っていた。

｢これしかないのだけれど…、はい｣

｢わぁ…!ありがとうございます、お姉様!｣

夕御飯を食べ損ねた性でとても
お腹が空いている。
私は早速朝御飯にすることにした。

｢あー、あれー？俺の分がない気がするなー？｣

｢夜中に人を驚かすようなケダモノに
渡すご飯などありません｣

｢え、えー…｣

バクは苦笑いしていた。
どうやら知らない間に何かあったみたい。

私はいただきますと呟いてフォークを
握った。