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自分でも驚くくらい、大きな声が出た。
山田は目を丸くした。
そりゃそうだよな、
普通に考えて声を荒げる文脈じゃなかった。
俺が何をやめてほしいかなんて分かる訳ない。
「やめろよ、簡単に好きとか言うなよ。」
言っちゃだめだ。
そんなこととっくに分かっているのに。
脳がストップをかけているのに、
口は止まらなくて。
「『好き』って、残酷な言葉なんだよ。山田は知らないと思うけど、好きなんて、簡単に使っちゃいけないんだよ。山田は普通に、よく考えずに好きとか言えると思うけど、俺は違うの。でも俺は、」
だめだ。
「………俺は、」
だめだ。
「山田が好きだよ」
言ってしまった。
一度口にしてしまったら、もうどうにでもなれ、と思って。
山田の方を向いてはいたけど、
怖くて顔は見れなかった。
山田の顔越しに、奥の壁を見つめながら、
「そう、好き。俺は山田が好き。意味分かる?山田が可愛い女の子に対して好きって思うみたいに、俺は、山田が好き。ずっと前から。分かんないよね、気持ち悪いよね。山田は俺とただ仲良くしてくれてたつもりだったと思うけど俺はそうじゃないから。だから、」
まくし立てていたら、塩の味がした。
しょっぱい。
俺、泣いてんの?
だっさ。
ちょっと動揺したくらいで、
言わなくて良かったはずのことをべらべらしゃべって、
今まで隠してきた努力を全部無駄にして、
これからの関係もぶち壊して、
そんで泣いてるとか、最低にダサい。
あまりの情けなさに、
余計に涙がこみ上げてきて。
そのぼやけた視界に、
…なぜか、山田の優しい笑顔が映る。
「俺も、好きだよ」
そう言ったのは、その山田だった。
「………は?」
何言ってんだこいつ。
「俺の話聞いてた? 山田のその『好き』と、俺の山田への『好き』は違うんだってば。同情だかなんだか知らないけど、」
そこまでしか言えなかった。
唇が、塞がれたのだと分かったのは、
暫く経ってからだった。
そして、俺の唇を塞いでいるのが、
山田の唇だということに気が付いたのは、
もっと後だった。
どうして。
頬に添えられる山田の手。
目の前には閉じられた山田の目。
長い睫毛。
近くで見ても綺麗な肌。
……どうして、
どうして、今俺はキスされているんだ。
理由も分からず、抵抗も出来ず、
ただ呆然と俺は、静かにキスされていた。
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あさ(プロフ) - 七日さん» 赤と青着て手つなぎですもんね?あれは完全に狙ってます(断言) 私もたかいの大好きなのでコメントとっても嬉しかったです、ありがとうございます…!また書きます! (2016年12月23日 23時) (レス) id: 70ea6cf74d (このIDを非表示/違反報告)
七日 - コメ欄から失礼いたします…たかいのかわいすぎて…!!一人で悶えてました。ありがとうございますな感じでした!ポポロのたかいのは、完璧に狙ってきてましたね!?また、たかいの書いていただけたら嬉しいです!これからもひっそりと応援させていただきます! (2016年12月22日 20時) (レス) id: 087ce95adb (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - キルアloveさん» 返信遅くなってごめんなさい、そして身に余る嬉しいコメントありがとうございます!!きゅんきゅんしてもらえて良かったです…!これからもっとときめくお話を書けたらな、と思います。 (2016年12月12日 0時) (レス) id: 70ea6cf74d (このIDを非表示/違反報告)
キルアlove - もーちょっとしにそうです。可愛いすぎです!死因はキュンじにでしにそうですwありちねヤバかったです!瞬く間に大ファンです!これからもずっと大ファンです!草場の陰から応援してます! (2016年11月16日 19時) (レス) id: 01b581abbb (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - かなこさん» コメントとっても嬉しいです、ありがとうございます!ありちねちゃん可愛いですよね…!また書きたいです。 (2016年11月5日 9時) (レス) id: 70ea6cf74d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさ | 作成日時:2016年10月5日 21時