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「...ん」
自分の声に引き寄せられてパチッと目を開けると、カーテンを通り抜けて差し込んだ朝日が天井を白く染めあげていた。枕元のスマホを確認すると時刻は8:36。まだすやすやと眠っているゆんぎを起こさないよう静かに布団を捲る。
『....ん..』
「....あ。起こしたね、ごめん」
薄らと目を開けて顔をこちらに向けたゆんぎにそう謝ると、掠れた声が返ってきた。
『....いちじかん、』
「...1時間?」
『....ねる』
「うん、もうちょっと寝ときな」
『....ん』
目を覚ましてから5分も経てば意識がハッキリする私とは正反対に、ゆんぎはとても寝起きが悪い。話すスピードは亀のように遅いし、瞼はほとんど閉じてしまっている。ゆんぎの意識が落ちかけなのをいいことに、私はこうして寝顔を見つめながら、好きだなあとぼんやり考えたりするのだ。
とは言え何時までもそんな時間に浸っている訳にはいかない。大学生の本分は学業だ。...一応。今日は三限からだけど、準備諸々を考えたら今ここを出るぐらいが丁度いい。
今度こそ起こさないようにと慎重に布団から抜け出したのに、床に足をつけたタイミングで後ろから服を引っ張られてしまった。
『....どこいく』
「家かえる」
『...かえる?』
「うん、帰る」
『...むり』
「むりじゃない」
『....おまえいないとねれない』
寝起きの、どこか甘えを含んだこの声に何度振り回されたか分からない。学生の本分が疎かになりかけているのは半分ぐらいゆんぎのせいだ。
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秋良(プロフ) - お返事いただき感謝です。250字では表せない位素敵な作品で他の作品も凄く大好きです^^季節の変わり目ですのでお身体ご自愛くださいね。 (2021年3月6日 14時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - 秋良さん» 秋良さん、こちらこそコメントありがとうございます!気長にお待ちいただけたら嬉しいです(*´`*) (2021年3月6日 12時) (レス) id: 6f2734bf2f (このIDを非表示/違反報告)
秋良(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます。次回作も楽しみにしてます。 (2021年3月6日 1時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天 | 作者ホームページ:https://twitter.com/_sora_way
作成日時:2021年2月23日 21時