検索窓
今日:19 hit、昨日:4 hit、合計:185,904 hit

-28 ページ28

.



緊張で心臓が今にも飛び出そうだったけれど、幸いゆんぎはピクリとすら動く気配がなかった。




「...じゃあね」




囁くまでもいかない音量でそう呟いてから背を向けてドアへ向かおうと足を踏み出したその瞬間だった。




右手首を突然グッと引っ張られて、ふらっとよろけた私はそのまま床に座り込んでしまった。




掴まれた手に視線を移せばゆんぎの微睡んだ目が私をじっと見つめていて、途端に鼓動が早くなる。




「...ごめん。起こしたね」


『...さっきの』


「え?」


『....さっきの、なに』


「さっきのって」


『...キス。したろ、ここに』


「...なに、言って『起きてた。その前から』


「え...」


『...あれ、どういう意味』



それらしい理由が何一つ浮かばない程とっくに頭は麻痺していて、気を緩めたら今にも色々な物が溢れ出そうだった。



「...なんでもない」



『はあ...なんでもない訳ねえだろ。つくならもう少しまともな嘘つけよ』



「...ごめん」



『謝られてもわかんねえ』




もう、限界だった。




「...っ、ごめん」




グッと握られていた手の力が一瞬緩んだ隙にその手を払って、床に置いていた鞄を雑に掴んでから玄関へ走った。




背中からゆんぎが私を呼び止める声が幾つも聞こえたけれど、1度も後ろは振り向けなかった。

-29→←-27



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (246 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
653人がお気に入り
設定タグ:BTS , SUGA , ユンギ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

秋良(プロフ) - お返事いただき感謝です。250字では表せない位素敵な作品で他の作品も凄く大好きです^^季節の変わり目ですのでお身体ご自愛くださいね。 (2021年3月6日 14時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 秋良さん» 秋良さん、こちらこそコメントありがとうございます!気長にお待ちいただけたら嬉しいです(*´`*) (2021年3月6日 12時) (レス) id: 6f2734bf2f (このIDを非表示/違反報告)
秋良(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます。次回作も楽しみにしてます。 (2021年3月6日 1時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作者ホームページ:https://twitter.com/_sora_way  
作成日時:2021年2月23日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。