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瞼の裏に光を感じて徐に目を開くと、もうとっくに朝日は顔を出していた。泣き疲れていつの間にか本当に寝てしまっていたらしい。いつもより瞼が重く感じたのはそのせいだろう。
恐る恐る顔を横に向けるとゆんぎが私の方を向いたまま寝息を立てていて、相変わらず口を少しあけていた。
いつもなら黙ってその可愛い寝顔を見つめるのだけど、今日はとにかく直ぐにでも帰りたかった。昨日自分からあんなことを言った手前長居する訳にはいかないから、できる限り音を立てないようそっと布団から抜け出す。
今日は深い眠りに入っているのか、ゆんぎが起きる気配はなかった。
洗面所で着替えを済ませて、パジャマを綺麗に畳んでいつもの場所に戻す。その時ふと目に入った私用のピンクの歯ブラシ。
「...あ」
これから彼女が家に来ることがあればきっとあらぬ誤解を招くだろうし私が捨てるべきなんだろうけれど、何故だかそんな簡単なことが出来なかった。
鞄を取るために寝室へ戻ればゆんぎは未だ気持ちよさそうに眠っていて。少しならいいかとベッドの傍に座ってその寝顔を眺める。
こんな時間も、今日で最後だ。
もう寝顔を見ることもないだろう。
寝る前に肩を寄せあって動画を見ることも。
温かい飲み物を啜りながら下らない愚痴を言い合うことも。
何でもない朝ごはんを美味しいと感じることも、全部。
結局私は何も言えなかった。
ただ怖かった。
自分の選択で今が変わるのが、何よりも。
そんな私と違って一歩を踏み出して気持ちを伝えたその人がゆんぎの隣に居るべきなのは、考えなくても分かるほど当然のことだった。
気持ちの強さとか、思ってきた長さとかじゃなく。結局は最後の1歩を踏み出せたかどうかが全てなのだ。
そんなこと自分が一番わかっている。
...でも、どうせ最後だから。
今ならきっと寝ていて気づかないだろうから。
こんな時までそんな最もらしい理由をつけて、私は静かに眠るゆんぎの頬にそっと唇を当てた。
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秋良(プロフ) - お返事いただき感謝です。250字では表せない位素敵な作品で他の作品も凄く大好きです＾＾季節の変わり目ですのでお身体ご自愛くださいね。 (2021年3月6日 14時) (
レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - 秋良さん» 秋良さん、こちらこそコメントありがとうございます！気長にお待ちいただけたら嬉しいです(*´`*) (2021年3月6日 12時) (レス) id: 6f2734bf2f (このIDを非表示/違反報告)
秋良(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます。次回作も楽しみにしてます。 (2021年3月6日 1時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天
| 作者ホームページ：https://twitter.com/_sora_way
作成日時：2021年2月23日 21時
