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『お前じゃないと寝れねーの、俺は』
「...とにかく、私は私の好きなタイミングで彼氏作るから」
結局ゆんぎにとって私は一緒にいたら何故か熟睡できるだけの存在に過ぎないことはよく分かっている。分かっているから、今日だって直ぐに帰ろうとしたのに。私、何を勘違いしてたんだろう。
"恋人みたいな朝"はどこまで行っても"みたいな"止まりで、そこから発展することは無いのに。自惚れた自分が酷く惨めに思えた。...もう、今日は早く帰ろう。
『なに、帰んの』
「うん。ごはん美味しかった、ありがとう」
ソファーに置いていた鞄を肩にかけてから玄関へ向かうと、後ろから床を擦るような足音が聞こえた。
『次来る時、晩飯な』
「うん、ちゃんと覚えてるよ。材料もまた連絡する」
『...つかお前薄着すぎだろ。そんなんじゃ風邪ひくぞ』
「あー、昨日ちょっと暖かかったから油断しちゃって」
『あー、ちょっと待ってろ』
「え？」
そう残して寝室へ消えていったゆんぎは白黒のチェック柄のマフラーを手に戻ってきて、それをぐるぐると私の首に巻き付けた。
『これで少しはマシになるだろ』
「...ありがと」
『ん』
「ゆんぎも、風邪引かないでね」
『まあ俺はほぼ外でねーからな』
「今週は大学来ないと単位落とすよ」
『はいはい、わかってます』
「..ほんとに？」
『行くよ、ちゃんと。火曜2限な』
「そう。...じゃあゆんぎ、またね」
『おー、また連絡するわ』
「ちゃんと寝てね」
『寝れたらな』
「うん」
いつもの通り扉が閉まるギリギリまで手を振ると、ゆんぎもいつもの通り軽く手を挙げて『気をつけて』と言った。
階段を降りて通りに出ると昨日とは比べ物にならない冷たく鋭い風に体が自然と縮こまる。そんな風から逃れるように顔を埋めたマフラーは、昨日私の隣で寝ていたゆんぎの服と同じ匂いがした。
思い返せば、今日は余計なことばかり言ってしまった気がする。
すっかり昼の空気に包まれた街を通り抜けながら、やっぱり次からは朝起きたらすぐ帰ろうと、何度目かの決心をしたのだった。
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秋良(プロフ) - お返事いただき感謝です。250字では表せない位素敵な作品で他の作品も凄く大好きです＾＾季節の変わり目ですのでお身体ご自愛くださいね。 (2021年3月6日 14時) (
レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
天(プロフ) - 秋良さん» 秋良さん、こちらこそコメントありがとうございます！気長にお待ちいただけたら嬉しいです(*´`*) (2021年3月6日 12時) (レス) id: 6f2734bf2f (このIDを非表示/違反報告)
秋良(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございます。次回作も楽しみにしてます。 (2021年3月6日 1時) (レス) id: 182bc41aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天
| 作者ホームページ：https://twitter.com/_sora_way
作成日時：2021年2月23日 21時
