高嶺の花は脆い

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薮「…近くね、」


伊野尾の家の前、想像以上に近かったその場所に一人で狼狽える


割と楽観的な性格な俺だけど、流石に嫌われてるかもしれない相手の家に一人で行くのは緊張するというか、…


薮「…あー、どうしよう、」


いや多分また居留守使われるし、…


でもさっきその多分が多分じゃなかったんだよ、


いやでもさっきのは前例がなかった。

こっちは前例がある

てことは多分の確率も上がる


…よし、押すだけ。


押したら帰る。

「あの、…」


そう心に決めて、インターホンに手を出した途端に聞こえたきた声。


…その展開は想定外だった。


薮「…はい、…」

想定外の展開に驚きつつもその声の聞こえた方角に体を向けると、そこに経っていたのは小柄な子。



「伊野ちゃんに何か用ですか？」

薮「あ、…はい、」


「何ですか？」



薮「いや、…ちょっと話したいな、って思って…」


「…伊野ちゃんは貴方と話なんてしたくないと思います。」



…え、何者この人、


薮「…なんでそんなこと、？」


「友達、だったのに…何も知らないんですね？」


薮「あの、…今聞くのも違うかもなんですけど貴方は？」


「……有岡大貴です。」



…有岡大貴、？

あぁ、…伊野尾と仲の良かった、…、

薮「…君が、有岡くん、…」


有「知ってるんだ、…」

そう言って、苦笑いを浮かべた有岡くん

…今日一日で色んなことありすぎでしょ、

さっき掲げた座右の銘今すぐおろしたい、


薮「あの、…なんで伊野尾は俺に会いたくないの？」


と、心の中では今の状況から逃げ出そうとしつつもやはり気になることは気になるみたいで、気づけばそんな質問を有岡くんに投げかけていた

有「…生徒会長って、伊野ちゃんから避けられ始めた時どう思いましたか？」

薮「俺何かしたかな、って…」


有「心当たりは？」


薮「…正直、なくて、…
だから、…俺自身の全てを否定するようになって…」

有「全て？」


薮「伊野尾がこうなった理由が俺にあるならそこ直さなきゃって思ってとりあえず生徒会長やめようとしたけどそう上手くいかなくて、…結局何も変わらず、」


楽しい青春を送りながらも、心の奥にずっとあったもやもや

そのもやもやを少し有岡くんに漏らすと、そうだったんだ、…と少し俯く、

…え、なに、？

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