Sweet × love…!

5 ページ5

.



「いってきまーす！」



玄関を開けて
マンションの階段を
勢い良く駆け下りる。



引っ越してから、
そんなに人見知りもしない私は
すぐに友達ができた。



中学はそのまま学区のところに通って
それなりに勉強もして

高校は、第一志望のところへ受かった。



入学してから1週間。

まだ高校生活に対するワクワク感で
毎日学校に行くのが楽しみなくらい。



電車で揺られながら
外の景色を眺める。



小学校の時は
すごく遠くに引っ越してしまったような
気がしてたけど、

実際引っ越した距離は
電車で30分くらいの、同じ県内だった。

それに気づいたのは中学生になってから。



でも
お母さんは昔の話を嫌がるし

もう連絡を取っている友達もいなかったし。



わざわざ地元に帰ることは、なかった。



心残りはあったけど

私のことなんて
きっと…忘れてるよね？



電車から降りて学校へと向かいながら、
ふと、そんなことを考えたりする。



「おはよー」


「あ、Aおはよ！」



高校に入ってすぐにできた友達は
名簿で隣の席になった、夏美。

第一印象は
大人しそうな感じだったけど、
喋ってみると元気で明るい子だった。



うちの高校はスポーツに力を入れてるから
運動部に入る人が多いけど

私も夏美も、高校では部活に入らないし

駅まで一緒に帰って
改札を抜けた所で
それぞれ別のホームに降りる。

高校生らしく
寄り道とかしたいね、とか言って
今後の予定を立てて。



ほんとはダメだけど、
この生活に慣れたらバイトも始めようかなって
思い始めてた。



予想しない出来事が起こったのは
入学して1ヶ月が経った頃だった。



.

6→←4【F side】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す