幼なじみの彼と彼について (ページ19)

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噂ページ19

正直あんな噂聞きたくなかった
周りは私達の関係を面白がってるだけだと
思った。

さゆりは知ってるのかな…
いやいや…ただの噂だし。
家に帰りづらい……
さゆりにどんな顔したらいいんだろう

そう考えると家に足が向かない。
家の近くをブラブラする。
気がつけば辺りは暗くなってしまった。

そろそろ帰らないと……
家に向かおうとすると四つ角の向こうから声が聞こえた。
直感で、この先には会いたくない人がいる。
と思った。あの声は……
あの先には天元と彼女がいる。

見たくない

すぐに反対方向へ体の向きを変えて走り出し
すぐ近くの公園に逃げ込む

はぁ、はぁ……
私……何逃げてるんだろ……

「全然……ふっきれてないじゃん……」

公園の奥のグランド前のベンチに座る。

ふとグランドを見ると、
男の子がサッカーの練習をしていた。

こんな時間まで練習する子いるんだなと
ボーッと見つめていると、
その子がこっちに
向かってきた。

ベンチ近くの街灯が
近づく男の子の顔を照らし
それが誰だかわかった。

「あ……」

実弥だった。

「A？こんなとこで何やってるんだ？」
実弥が話しかけてきた。

「あ…ちょっとね……」
慌てて涙を拭く

その私の様子を見て顔色が変わる。
「お前……泣いてるのか？」

しまった……バレた…？
「へ？気のせいだよ？」

立ち上がり
「実弥、こんな時間まで練習して
すごいね？知らなかったよ。
じゃ、私帰るね？」
実弥に背を向けて歩き出すと

実弥が追いかけてきて
後ろから抱きしめられる。

どくん…心臓が跳ねる
おさまれ……私の心臓。
どうか実弥にバレませんように。

「さ…実弥？ど…どうしたの？離して？」
腕をほどこうとするが、
力が強くて振りほどけない。
いつの間にこんなに逞しくなったんだろう……
「泣くなよ……」
実弥は、声を押し殺して言った。
「へ……？泣いてな……」
「嘘つくな！肩震えてんじゃねぇか…」

「ねぇ？さゆりに悪いから……」
「さゆりは関係ない。俺は……昔からお前しか……」

実弥に抱きしめられたまま
押し問答をしていると、

公園側から誰かの声がする

「A？帰ってこないんだもん
めちゃ探したじゃ……な…い？」

実弥に抱きしめられたまま

恐る恐る視線を声がする方に移すと、

低い声が聞こえた

「ねぇ、どういうこと？」

目の前にさゆりが立っていた。