魂の繋がり ページ6
*
「……夢?」
「そう。すごく……懐かしい。遥か…昔の。」
そう言えば、実弥の身体がピクリとし、不安そうに私の顔を覗き込むと聞いた。
「昔……?何を見たんだ?」
「長屋や…神社…。ふふ……私達は本当に昔から腐れ縁だね?」
笑うと、実弥は更に驚き恐る恐る私に聞いた。
「まさか……その、、思い出したのかァ?」
実弥のその言葉にゆっくりと頷き……見つめると、自然と涙が溢れ零れ落ちた。
あの時代の私は、本当は実弥が好きで…好きで…たまらなかった。
しかし、女性が自由に発言出来ない時代でもあった。
「あの時代の私は…なかなか素直になれなくて、ごめんね。」
「Aっ!!」
愛しくて、切なくて。
100年前の私の感情が波のように押し寄せる。
それはまるで…乾いた大地に水が染み渡るかのよう。
そして…心地良い。
実弥に対して、これ程に愛しさを感じた事はあるのだろうか?胸が熱くなり、遥か昔の記憶が鮮明に甦る。
あの時代、互いの運命に翻弄されながらも、必死に支えあい生きた私達。
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そして、約束通り今世も出逢い、結ばれた。
たとえ、どれだけ離れていようと……必ず見つけ出しただろう。
魂の繋がり…『ツインレイ』
この奇跡に……心が震え歓喜する。
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晴弥をベビーベッドに寝かせると、実弥に手を伸ばす。自然と二人抱き合い、すり……っと頬を胸に寄せると、とくん、とくん、と…心地よい実弥の心音が耳に伝わる。
「実弥、私が眠ってる間…ずっと手を握ってくれてたよね?」
「あァ…。」
「私ね?不思議な空間にいたの。丘の上には実弥の兄弟似た人達がいて。不安から私、そこに行こうとしたんだけど、、誰かに強く手を引かれたの。『そっちに行くな!』ってね。その手のおかげで……ここに戻ってこれたんだよ?それ…実弥の手だと分かった。私を……この世に呼び戻してくれてありがとう。ずっと…傍にいてね?」
「当たりめェだろォ?俺達はずっと一緒だァ…。」
「大好き。」
「あァ…俺も好きだァ。」
「ぎゅってして?」
「はっ!どうしたァ?いつもより甘えただなァ?」
いつになく甘える私を不思議そうに見つめ、嬉しそうに優しく抱きしめる実弥。暫く互いの温もりを確め合う。そして…ゆっくり離れ伝える。
「あのね?あの時代…」
「…あの時代?」
「私がどれだけ貴方に恋い焦がれていたのか知ってる?」
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柚葉(プロフ) - 食べられたい💓 (8月18日 6時) (レス) @page31 id: d20b43a216 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - あんころ餅さん» あんころ餅様、はじめまして!嬉しい感想ありがとうございます。すごく励みになります。更新…お待たせして申し訳ありません。あと少しお待ち下さいませ(^-^) (7月2日 18時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
あんころ餅(プロフ) - 2日ほど前にこの作品を見つけてシリーズ6まで一気読みをしてしまいました途中涙が出るぐらい感動したり。鬼滅はまだ無限列車までしか見てないのですがすごく特徴を捉えられていて鬼滅本編を途中までしか見てない私でもとても分かりやすかったです。更新楽しみにしてます (7月1日 20時) (レス) id: 235e675cd4 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - えのきちゃん、更新待ってたよ!これからの展開が楽しみすぎて辛い…(^-^)お互い無理の無いペースで更新頑張ろうね! (5月17日 10時) (レス) id: 9b48e88303 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 宇髄さんが味方だと心強いです。問題が解決して欲しいです。 (5月16日 17時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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