お礼小話4 ページ25
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「……なによっ!!……そんなに怒鳴らなくてもいいじゃん。兄貴の馬鹿ぁ!!」
「待てって!!何処行くンだよ!!」
勢いに任せて部屋を飛び出すと、騒動に気づいた母親がリビングから出てきた。
「ちょっとA!家の中を走ったら危ないでしょ!実ちゃんまでどうしちゃったの?」
「おばさん!すみません!理由はあとで!!おいA!!待てって!!」
どうして喧嘩になってしまったんだろう?
私はただ…警察学校頑張ってね!って伝えたかっただけなのに。兄貴の彼女見たのがこんなに辛いなんて思いもしなかった。
全速力で走ったつもりだったが、兄貴の脚に敵うはずもなく、あっけなく捕まる。
「はぁっ!はぁっ!……っもう!しつこい!!」
「お前が逃げるからだろォ。……ったく……」
「だって……兄貴怒鳴るし!それに……」
見たくなかったんだもん……。
俯く私を見つめる兄貴。
「しょうがねェなァ……さっきこの先の公園にキッチンカー来てたから何か食うかァ?お前の好きなモン売ってたぜ?奢ってやるよォ。」
「…………行くぅ……」
食べ物に負けた……食べ物に弱い事よく知ってるよね。
あれ?なんかチョロすぎるでしょ私。
悔しくて唸る私を見てクックッと笑う兄貴。
くそ……。
「行くぞォ…」
私の頭をポン……とすると、スタスタと歩き始める兄貴。
「あ!待ってよ!!ね、ねえ!さっきの彼女は……?」
「は?帰ったぜェ。俺は話す事ねェし。」
「え?それガチで言ってんの?彼女かわいそうじゃん…」
きっと勇気を振り絞り家まで来たんだろうに。
追い返したの?兄貴って意外と冷たいのか?
すると、真剣な顔で私に言う。
「思わせぶりな態度する方が惨いンじゃねェの?」
ま、まあ。兄貴の言うことはごもっともですが。
「そりゃ……そうだけどさ……」
「…………俺はお前と話をしたかったァ。」
「へ?私と……?」
隣を歩く兄貴の予想外の言葉に驚き、見上げると目が合う。途端にカァっと顔が赤くなってしまう。
なんだか……恥ずかしい!!
見つめてくる兄貴にドキドキしてしまうではないか。
(ど、どうした?なんだかやけに甘く感じるのは何故だ?)
夏祭りの時も、好きな人いるような事言ってたけど…
あの時好きな子誘う言ってた。
それってもしかして……兄貴は私の事を………?
これは思わせ振りな態度では……ない?
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や、やばい!ドキドキしすぎて兄貴の顔見れない!!
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柚葉(プロフ) - 食べられたい💓 (8月18日 6時) (レス) @page31 id: d20b43a216 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - あんころ餅さん» あんころ餅様、はじめまして!嬉しい感想ありがとうございます。すごく励みになります。更新…お待たせして申し訳ありません。あと少しお待ち下さいませ(^-^) (7月2日 18時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
あんころ餅(プロフ) - 2日ほど前にこの作品を見つけてシリーズ6まで一気読みをしてしまいました途中涙が出るぐらい感動したり。鬼滅はまだ無限列車までしか見てないのですがすごく特徴を捉えられていて鬼滅本編を途中までしか見てない私でもとても分かりやすかったです。更新楽しみにしてます (7月1日 20時) (レス) id: 235e675cd4 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - えのきちゃん、更新待ってたよ!これからの展開が楽しみすぎて辛い…(^-^)お互い無理の無いペースで更新頑張ろうね! (5月17日 10時) (レス) id: 9b48e88303 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 宇髄さんが味方だと心強いです。問題が解決して欲しいです。 (5月16日 17時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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