後悔の念 ページ2
*
新生児室を退室し廊下の窓から外に目をやると、綺麗な月が見えた。射し込む柔らかい月明かりにある記憶が甦る。
「満月……かァ。」
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……Aが俺に酔った勢いで告げたあの記憶。"あの時代の俺達"は…お互い生きていくのに必死だった。
そんなAと俺が本音をさらけ出したあの夜の瞬間。
巡りめぐって想いが通じた瞬間。
激動の人生を送ってきたAを……
絶対ェ幸せにしてェ。
そう誓った夜。
しかしどうだ?今世で俺は……本当にAを幸せにしてあげられているのだろうか?
分からねェ。
Aを失うかもしれないという現実を突き付けられた今、何も出来ねェ自分が情けなくてしかたねェ。
「くそ……。」
拳を壁に当て、自分自身を責めた。
そんな時だった。
「実ちゃん。ちょっといいかい?」
「お義父さん……。」
「母さんは落ち着いたから。」と言いながら、俺のところにやって来てくれた。
少し頭を下げると、お義父さんは大丈夫だと手を上げ俺にそのまま話しかける。
「人生…色々あるが……。Aが……実ちゃんと子ども達を置いて逝ってしまうなんて、考えられないと思わないかい?」
「…え?」
「俺は、娘の生命力を信じるよ。…………それに、大家族になるんだろう?」
「あ、いや、、。俺は……。」
こんな危険な目にはもう……合わせられない。
そんな考えで頭がいっぱいだ。
「大丈夫だよ。Aは必ず目を覚ます。……実ちゃんにこんな思いさせて……悪かったね?だが…………、娘を……Aを信じて待ってやってくれ。君が傍にいてくれたら……きっと……。」
そう言いながら、そっと俺の手を両手で包みこむお義父さんのあたたかい手を見つめる。
娘を失うかもしれないという不安と戦いながらも、震えながも俺を勇気付けてくれる手……。
そうか。
俺も…Aに寄り添い手を握り、あいつが迷わないように、俺達の元に帰ってくるように…祈り続けよう。
Aは絶対ェ目を覚ますと信じる。
そこへ看護師がやってきて、面会を許可されAの元に案内される。
「A……。」
俺は……Aの手を握りしめ、言った。
「A!!戻ってこい!!」
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柚葉(プロフ) - 食べられたい💓 (8月18日 6時) (レス) @page31 id: d20b43a216 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - あんころ餅さん» あんころ餅様、はじめまして!嬉しい感想ありがとうございます。すごく励みになります。更新…お待たせして申し訳ありません。あと少しお待ち下さいませ(^-^) (7月2日 18時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
あんころ餅(プロフ) - 2日ほど前にこの作品を見つけてシリーズ6まで一気読みをしてしまいました途中涙が出るぐらい感動したり。鬼滅はまだ無限列車までしか見てないのですがすごく特徴を捉えられていて鬼滅本編を途中までしか見てない私でもとても分かりやすかったです。更新楽しみにしてます (7月1日 20時) (レス) id: 235e675cd4 (このIDを非表示/違反報告)
紫音(プロフ) - えのきちゃん、更新待ってたよ!これからの展開が楽しみすぎて辛い…(^-^)お互い無理の無いペースで更新頑張ろうね! (5月17日 10時) (レス) id: 9b48e88303 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 宇髄さんが味方だと心強いです。問題が解決して欲しいです。 (5月16日 17時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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