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暁まで…3 ページ32

***



咽び泣く私の背中を、まるで…赤子をあやすかの様に擦り、優しく抱き締める実弥。






私、ずっとしてこなかったの。






誰かに甘えるということを。






淋しくても、辛くても
ずっと……ずっと我慢してきた。


でも……もう限界なのかもしれない。
心が壊れてしまいそう…




だらり…と下がった両手を恐る恐る広い背中にゆっくりと回し、羽織をきゅっと握ると、ピクリ…と、
反応する実弥。



実弥の温もり……



恋仲でもない殿方にすがり付くなど…
…はしたない女だ。



それでも良かった。
人肌が恋しかったのだ。



そのたくましい胸にすり……っと頬を寄せると静かに受け入れてくれた。
とくん…とくん…と実弥の心臓の鼓動が聞こえれば、
不思議と落ち着き、凍りついた心が溶かされていくよう。
暫く抱き合っていると、少し乱れ顔にかかる私の髪を指ですくい、整えると私に聞く。



「1人で平気か?」



和子さんの事を話に行こうとしたのだろう。

実弥は私から少し身体を離す。





でも……




イヤ……




行かないでほしい







「…………ないで」







とっさに実弥の服をギュッと握りしめる。
私の行動に驚く実弥。




「……A?」



「おねがい……ひとりにしないで……傍に…いて?」




今日だけでいい。
我儘を聞いてほしい。




暫く黙っていた実弥は、頭をガシガシと掻きながら、ポツリ呟く。



「……やっと素直になったかァ」


「……ぇ?」



「昔から寂しがり屋の癖になァ。意地張りやがって」




くしゃ……っと髪を撫でると
私の顔を覗き込み、笑う。





「迷惑かけて……ごめん……なさい…」




「…謝る必要ねェ、俺がこうしたいだけだァ」

そう言いながら、私の隣に座る。







「ごめんね…昔から手のかかる…妹だよね?」




……何をわざわざ聞いているんだろう。
本当にばかな私。

こんな事聞いて…実弥に何を求めているのだろう。
ほら……困って、黙ってしまったじゃない。

期待なんてしたらダメなのに。




実弥は、また始まったか?と言いながら
はぁ……っとため息をつくと
腰に手を回しグイッと引かれると
視界が反転する。


「キャ…」



気がつけば…ベッドの上に組み敷かれていた。
私の上には実弥がいる。


「ぇ…?あの…」


いけない……何とか離れなければ…
そう思うが、力で叶うはずない。




そして、私の頬を触れながら言った。





「…オメェを妹と思った事は、一度もねェ」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥   
作品ジャンル:恋愛
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芳美(プロフ) - 前にメッセージありがとうございました♡読み始めたばかりで返事の仕方も分からず…(>_<)実弥のラスカルの画像も何故か消えてしまいました^^;これからも楽しみにしてますね♪ (2022年11月23日 18時) (レス) @page38 id: 7b568aa020 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - 実弥LOVEさん» この作品を面白いと仰ってくださり本当にありがとうございます。とても嬉しいです。パスワードですが、すみません、誰でも閲覧できるこちらではお教え出来ないので、メッセージに問い合わせいただけたらと思います(^-^) (2022年5月18日 20時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
実弥LOVE - 暁に風想ふ。凄く面白いです。この続編のパスワード教えて下さい。 (2022年5月18日 16時) (レス) @page50 id: 46d98ab23b (このIDを非表示/違反報告)
しおちゃん - あのぅ....えのき様!私も占ツク作家デビューしたんですよ!鬼滅の内容で、「師範はご都合血鬼術と格闘中」っていうんですけどぉ....←さらっと宣伝すみません......ぜひ遊びに来ていただけると嬉しいです! (2022年3月29日 22時) (レス) @page45 id: 00486be8b9 (このIDを非表示/違反報告)
しおちゃん - ひゃぁ....やっぱりえのき様の作品はどれも目から水の呼吸が止まりません....。過去作をもう一度読んでいるんですが、やはり同じところで...あぁ.....新しい発見や伏線回収でさらにキますね....。ありがとうございますぅ.....あぁ (2022年3月29日 22時) (レス) @page45 id: 00486be8b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えのき | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2021年10月17日 8時

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