もう帰ろう ページ36
＊＊＊
詩乃ちゃんが止めるのを聞かずに、会場へ戻りバッグを乱暴に掴むとそのまま外へと向かう。
「Aちゃん、落ち着いて？」
慌てて追いかけてくる詩乃ちゃんと、
ただ事ではない様子の私を見た実弥が声をかけてくる。
「A？どうしたァ？」
黙りこみ、立ち止まる私のもとへ来て私の肩を掴み、グイっと向きを変えられると、私の顔を見て驚く実弥。
「……おィ、何があったんだァ。A？」
「ん…。な……んでもないよ？私、帰るね？」
必死に笑顔を作り、帰ろうとする私をなかなか放してくれない実弥。
「詩乃さん、一体何があったんだァ？」
詩乃ちゃんに聞く実弥。
詩乃ちゃん！言わないで！
お願いだから……
説明しようとする詩乃ちゃんを止め、実弥に言う。
「あのね、子ども達が心配だから……帰るね？」
「実家から電話でも来たんかァ？じゃ、俺も帰るかァ……」
帰ろうとする実弥に言う
「実弥、友達と久しぶりに会えたし、ゆっくりしてきて？私、電車で帰るから。」
実弥の手をそっとほどくと、鏑丸食堂を出た。
来るんじゃなかった……
やっぱり先輩の方がお似合いですよ
あの奥さん気遣い出来なさそう
暗い夜道をとぼとぼ歩きながら、
さっきのあの二人の会話を思い出す。
────
実弥side
店の奥から勢いよく戻ってきたA。
泣きそうな顔をしていた。
何があったんだァ？
言ってくれなきゃわかんねェだろォ？
子供達が心配だと、帰ってしまったァ。
「詩乃さん、何があったか教えてくれェ」
困り顔の詩乃さんがトイレでの出来事を話してくれた。
教えてくれた詩乃さんにお礼を言い、ツレに伝える。
「……わり、俺帰るわ」
「は？不死川？急にどうしたんだよ？」
「嫁さん追いかける」
「はああ？お前どんだけ好きなんだよ！」
冷やかすツレ。
は！勝手に言ってろォ
そこにトイレから戻ってきた小林達と会う。
「え？え？不死川さん？もう帰っちゃうの？」
「俺さ、アイツがいねぇと調子出ねぇンだわ」
二人に言う。
そして、伊黒夫妻に挨拶に行くと
「伊黒ォ……A追っかけっからァ。また日を改めるわ」
「ﾌﾝ……早く行ってやれ。外は暗いからな」
「きゃあ！Aちゃんを追いかけるのね？
素敵！きゅんきゅんしちゃう！気をつけてね？」
二人に見送られ店を出ると、俺は車に乗り込んだ。
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えのき(プロフ) - れもんさん» コメントありがとうございます！褒めてくださりありがとうございます！お気に入り登録もありがとうございます！楽しんでもらえたようで良かったです(*^^*) (2021年9月26日 7時) (
レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
れもん - こんばんは！読みだしたら止まらなくなって、すいすいと全部読めました！とっても面白いです！続編も楽しみにしてます！お気に入りを666から667にしてしまった罪悪感…。…でも、お気に入りにしない選択肢はなかった！ｳﾝｳﾝ(/・ω・)/ (2021年9月25日 20時) (レス) id: 5102ae8dc8 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - ユイぱさん» 続編へ移行します。準備が整いましたら公開しますね！ (2021年9月23日 17時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
えのき(プロフ) - 柚葉さん» 小林さん……こわいよね？ (2021年9月23日 16時) (レス) id: 9c3da7f4d0 (このIDを非表示/違反報告)
ユイぱ - 続編できるんですか？楽しみです！ (2021年9月23日 16時) (レス) id: 21c5274ef7 (このIDを非表示/違反報告)
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